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ダイヤモンドウエッディング* Diamond Wedding 牡 1905 鹿毛 GB |
《血統表》
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ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB 英三冠馬 |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon 鹿毛 1881 GB |
ｶﾞﾛﾋﾟﾝ Galopin |
Vedette |
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Flying Duchess | |||
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ｾｲﾝﾄｱﾝｼﾞｪﾗ St.Angela |
King Tom | ||
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Adeline | |||
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ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita 黒鹿 1881 GB |
ﾊﾝﾌﾟﾄﾝ Hampton |
Lord Clifden | |
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Lady Langden | |||
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ﾊｰﾐｵﾝ Hermione |
Young Melbourne | ||
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La Belle Helene | |||
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ｳｪﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock 鹿毛 1869 GB |
ﾛｰﾄﾞｸﾘﾌﾃﾞﾝ Lord Clifden |
Newminster |
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The Slave | |||
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ﾐﾈﾗﾙ Mineral |
Rataplan | ||
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Manganese | |||
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ｻｲﾍﾞﾙ Cybele 1971 |
ﾏｰｼｬｽ Marsyas |
Orlando | |
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Malibran | |||
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ﾒｲﾄﾞｵﾌﾞﾊﾟﾙﾐｭﾗ Maid of Palmyra |
Pyrrhus | ||
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Palmyra |
《競走成績》
《繁殖成績》
明治42年（1909）輸入
明治43年（1910）供用開始（奥羽種馬牧場）
大正4年（1915）栃木種馬所に移動
大正11年（22）福島種馬所に移動
大正13～15年 日本リーディング2位
昭和4年（1929）4月29日供用停止・廃用
《代表産駒》
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産駒 |
性 |
勝鞍等 |
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バンザイ |
牡 |
帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走
、など13戦11勝 種牡馬 サラ系 |
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コウエイ |
牡 |
帝室御賞典など10勝、障1勝 種牡馬 サラ系 バンザイの全弟 |
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レッドウヰング |
牝 |
帝室御賞典など18勝 帝室御賞典勝馬アトランタの母、桜花賞馬オヤシオ、有馬記念馬イシノアラシ、最優秀障害馬ヤマニンダイヤ、スピーデーワンダー（阪神大賞典）、ミツカゼ（目黒記念）、アルファキュート（サファイヤＳGIII）、カムイダケ1955（京都大障害）、キヨトミ（府中牝馬Ｓ）等の祖 |
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ゴールドウヰング |
牡 |
帝室御賞典 種牡馬 |
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ラレド |
牡 |
帝室御賞典、各内国抽籤濠州産馬混合競走、②帝室御賞典 種牡馬 (競)ラレード チェロキーの全兄 |
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マツカゼ |
牡 |
帝室御賞典、各内国産馬連合競走 種牡馬 サラ系 |
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ヤングナカヤマ |
牝 |
帝室御賞典
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ダークメード |
牝 |
帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走 アア |
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ハツタマ |
牡 |
帝室御賞典、 |
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チハヤ |
牝 |
帝室御賞典、 |
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アサヒ |
牝 |
帝室御賞典 旧名フジ |
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ダイヤアプリ |
牡 |
新潟特別競走 アア |
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フォースト |
牡 |
②帝室御賞典 種牡馬 (競)コマリウ 4勝 障6勝 |
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アッピーアランス |
牝 |
③帝室御賞典 サラ系 ヤノセンショウ（しらさぎ賞）、ホウユウヒダカ（ダイオライト記念）の祖 |
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種義 |
牝 |
アストラル（帝室御賞典馬）以下、本邦屈指の名牝系の祖。 おもな子孫にタケホープ（年度代表馬）、ビクトリアクラウン（最優秀３・４歳牝馬）、エルプス（最優秀４歳牝馬）、チェリオ（最優秀古牝馬）、ニッポーテイオー（最優秀古牡馬）、マツカゼオー（最優秀３歳牡馬）、カブトヤマ（ダービー）、ガヴァナー（ダービー）、キンテン、ダイナモ、ハクヨシ、（以上帝室御賞典勝馬）、エリモジョージ（天皇賞）、ロッキーモアー（天皇賞）、ケゴン（皐月賞）、オーハヤブサ（オークス）、タケフブキ（オークス）、タレンティドガール（エリザベス女王杯）、レオダーバン（菊花賞）等 |
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ウェッディングサーフ |
牝 |
帝室御賞典馬デンコー、天皇賞馬ゼネラル、桜花賞馬ホウシュウクイン、桜花賞馬ブランドソール、オークス馬リニアクイン、アカネテンリュウ（最優秀４歳牡馬）、トキノキロク（最優秀古牝馬）、オサイチジョージ（宝塚記念）等の祖 |
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チェロキー |
牝 |
皐月賞馬ヤマオー、天皇賞馬トサオー、タカオーの祖 (競)シェロキー 1勝 ラレドの全妹 |
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種家 |
牝 |
賢春（(競)ケンシュン、帝室御賞典）、月家（(競)ジャンダークトマス、農林省賞典牝馬競走）の母、菊花賞馬テツザクラ、天皇賞馬ヒロサクラ、トヨウメ、オーヒメ（最優秀古牝馬）、ヒシマサル（日経賞）、ステートジャガー（大阪杯）、ニホンピロポリシー（デイリー杯３歳Ｓ）、ネーハイジェット（高松宮杯）などの祖 |
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第一レピダ |
牝 |
礼全（帝室御賞典）の母、ブランドライト（中山大障害）、ラッキータカヨシ（セントライト記念）、アイランドゴッテス（関屋記念）の祖 |
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慶歌 |
牝 |
天皇賞馬シーマー、二冠牝馬テスコガビーの祖 |
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慶臣 |
牝 |
ダービー馬イエリュウ、タヤスダビンチ（新潟３歳ＳGIII）等の祖 |
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常夏 |
牝 |
サラ系 ナスノ（帝室御賞典）の母 |
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第四エスサーディー |
牝 |
中山大障害勝馬イサハヤの母 |
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雲桜 |
牡 |
種牡馬 (競)クモザクラ 2勝 |
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ダイヤモンド |
牡 |
種牡馬 |
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ベストマン |
牡 |
②帝室御賞典 種牡馬 |
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第七ダイヤモンド |
牡 |
種牡馬 大正4年 栗毛 奥羽種馬牧場産 鹿児島種馬所で供用 |
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慶利 |
牡 |
種牡馬 サラ系 |
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山楽 |
牡 |
種牡馬 サラ系 |
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グラビッドダイヤ |
牡 |
種牡馬 朝鮮で供用 |
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第三チャンピオン |
牡 |
種牡馬 サラ系 |
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総捷 |
牡 |
種牡馬 サラ系 |
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ダウントン |
牡 |
種牡馬 サラ系 |
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ハンナー |
牝 |
皐月賞馬ヤエノムテキの祖 |
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第貳リッツルフェーム |
牝 |
サラ系 ダイマンゲツ（最良アラブ）の祖 |
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フワシネーション |
牝 |
エゾホマレ（京都大障害３着）の祖 サラ系 |
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種為 |
牝 |
フクセイコ（オークス３着）の祖 サラ系 |
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ダイヤカップ |
牝 |
サラ系 |
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カロル |
牝 |
サラ系 |
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雲扇 |
牝 |
サラ系 |
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第四ベスチー |
牝 |
サラ系 |
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八洲 |
牝 |
(競)プロポン 1勝 |
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カロンド |
牝 |
アア |
《解説》
歴代のイギリス王は皆競馬を愛し、競馬の庇護者であり、ときには度を超して競馬にのめりこんでてきたが、クラシック三冠レースが整備された頃に即位したハノーヴァー家のウィリアム4世は違っていた。彼が王位について最初の年、試しにハンプトン・コートの王室牧場で生産された馬をグッドウッドカップに出してみたところ上位3着までを独占してしまった。間の悪いことに、競馬場で浮浪者の投げたビスケットがウィリアム4世の目に命中し、ウイリアム4世はすっかり競馬へ関心を失い、王室牧場を最小限に縮小してしまった。高齢のウィリアム4世が1837年に在位8年目で逝去すると、まだ若い18歳のヴィクトリアが英国女王に即位した。女王陛下のもと、ヴィクトリア朝大英帝国は産業革命の果実によって世界に君臨する史上最良の黄金の時代を迎える。
ヴィクトリア女王はザクセン公アルバートとセント・ジェームズ・パレス宮殿で結婚すると、ハンプトンコート王室牧場のサラブレッドをすべて競りで売却してしまった。アルバート公は毎年エプソムのダービーに列席したが、女王陛下はたった1度しかダービーには来なかった。彼女の長男で、後に即位してエドワード7世となるアルバート・エドワード皇太子殿下は、王太子として厳格な教育を受けたが、その反動で娯楽を愛する青年に成長した。彼はギャンブルを好み、ジョッキークラブに服色登録して、サンドリンガムに牧場を開いてサラブレッド生産に力を注いだ。皇太子殿下はなかなかの名伯楽で、1896年には生産馬のPersimmonパーシモンでエプソムダービーを制した。パーシモンはその後セントレジャーSを制し、二冠馬となった。翌年、皇太子殿下のサンドリンガム王室牧場でパーシモンの全弟が誕生した。この1897年は、母であるヴィクトリア女王陛下在位60年にあたり、これに因んで皇太子殿下は愛馬に“60年記念祭（ダイヤモンドジュビリー）”と名づけた。
ダイヤモンドジュビリーは極めて気性が荒く騎手を乗せることを拒むため止むを得ず担当厩務員ハーバート・ジョーンズが騎乗すると、19世紀最後の年に三冠を達成し、歴史上もっとも重要な種牡馬St.Simonの、最良の産駒の1頭となった。ハーバートは後に、国王となったエドワード7世陛下の持馬ミノルでもダービーを制し、「国王の騎手」との名声を馳せた。
Diamond Jubileeの全兄の二冠馬Persimmonはダービーとセントレジャーに勝ち、アスコット金杯も勝って当時の大レースを殆ど制した名競走馬である。繁殖入り後もSt.Simon後継種牡馬として最も成功し、4度チャンピオンサイヤーになって無数の名馬を送り出した。Persimmonの直径子孫は代を経て一度はほとんど滅亡したが、ベルギーのPrince RoseからPrincequillo、Prince Bio、Prince Chevalierが出て、St.Simon系を再興した。また全兄であるFlorizelⅡはダービー馬Volodyovskiをはじめ愛、独、露国でクラシックホースを出し、更にその子孫から、凱旋門賞馬Massineはフランスでチャンピオンサイヤーとなって父系を興し、Tagorはロシア＝ソビエトの大種牡馬となって一大父系を発展させた。
【St.Simon×Perditaの全兄弟の父系概略図】
｜Persimmon
｜｜Sceptre（ｆ，英国三冠牝馬）
｜｜Comedy King（メルボルンＣ）→豪州父系
｜｜Your Majesty（セントレジャー）→南米父系
｜｜Chatsworth
｜｜｜コイワヰ（持込 明治期の名競走馬）
｜｜｜｜ハクショウ（帝室御賞典）
｜｜ラシカッター* Rushcutter 1905
｜｜｜ラシデヤー（帝室御賞典）
｜｜｜｜ハクリュウ（帝室御賞典）
｜｜｜｜｜マルタケ（菊花賞）
｜｜コートプレースター* Court Plaister 1905 黒鹿毛
｜｜｜タマオカ（帝室御賞典）
｜｜パーナムビューコー* Pernambuco 1906 栗毛
｜｜Zinfandel（アスコット金杯）
｜｜｜Setland
｜｜｜｜ルフェーヴル* Lefevre 1921 黒鹿毛
｜｜Prince Palatine（セントレジャー）→Prince Rose→Prince Bio、Princequillo、Prince Chevalier、Pappageno等へ
｜FlorizelⅡ
｜｜フロリースカップ*（ｆ）
｜｜Volodyovski（英ダービー）
｜｜｜ヴアスターン* Vastern 1907 鹿毛
｜｜｜ヴオロジヤー* Volodya 1905 鹿毛
｜｜Floreal（露ダービー）→露国／ソ連父系
｜｜Doricles（英セントレジャー）
｜｜｜Consols
｜｜｜｜Massine（凱旋門賞）→仏国父系
｜｜｜｜｜Mieuxce→仏国父系
｜｜｜｜｜Etalon Or→ソ連父系
｜Diamond Jubilee
｜｜As de Espadas（ナシオナル大賞典）
｜｜Smasher（ナシオナル大賞典）
｜｜Moloch（カルロス・ペリグリーニ大賞典）
｜｜Last Reason（チリ・チャンピオンサイアー）
｜｜Campanazo（チリ・チャンピオンサイアー）
｜｜ライトアスセンション* Right Ascension 1904
｜｜ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 1905
｜Sandringham→米国へ
これらの全兄をもつ、良血にして名競走馬のDiamond Jubileeの種牡馬としての成績は、その華々しい競走成績からは全くの大外れと言うべきで、ジョッキークラブS勝馬Sancyを出した程度で、南米へ輸出された。彼の地では大成功を収め、1914～16年と1921年の4度チャンピオンサイヤーとなり、ナシオナル大賞典勝馬As de Espadas、Smasher、カルロス・ペリグリーニ大賞典勝馬Molochらを輩出し、チリのチャンピオンサイヤーの父となった。本馬ダイヤモンドウェッディング*は本邦におけるSt.Simon系の最初期の種牡馬であり、日本競馬史における最古の一流種牡馬の１頭である。
ダイヤモンドウェッディング*（史料によってはダイヤモンドウエチング、ダイヤモンドウヱヂング） Diamond Weddingは明治42年（1909）に国立奥羽種畜牧場（青森県七戸）に導入され、一般に供用された。奥羽種畜牧場は、当時馬産を行う国立牧場としては3箇所の一つで、残りの2箇所は十勝種畜牧場（音更）と日高種畜牧場（浦河）であるから、内地で唯一のサラブレッド生産を行う国立牧場である。その創立は明治29年（1896）と他の2場に比べて古く、次代に日本のサラブレッド生産の中心となる小岩井農場、下総御料牧場のどちらよりも前から、最先端のサラブレッド生産地であった。もともと青森は、明治5年（1872）から英国より種牡馬を導入し、広大な広沢牧場（三沢）で馬産を開始しており、わが国でも最も古くから洋式の馬産を行ってきた地域である。奥羽種畜牧場のサラブレッド種牡馬の導入は明治36年（1903）からであるが、ダイヤモンドウェッディング*以前に導入された種牡馬（ヂプロマット*、バーシバーン*等）は、インフォーメーション*を除き、特筆すべき結果を出してはいないようである。ダイヤモンドウェッディング*以降は、ラシカッター*、ガロン*など、重要な種牡馬を導入している。当種畜場では毎年概ね100頭前後の生産をしており（サラブレッド以外の馬種も含む）、途中昭和4年（1929）の伝染病による大量流産を除いては、戦争期までこの規模は維持された。ダイヤモンドウェッディング*は後に栃木、福島と供用地を移された。
血統的にはジュライＣに勝ったBest Manの半弟であるが、当時どのような理由で本馬が導入されたのか、本馬自身の競走成績とともに不明である（ゴメンナサイ）。なお、ダイヤモンドウェッディング*産駒で、ベストマン 鹿毛 1911(母エスサーディ*)という種牡馬がるので注意されたし。
わが国の軽種馬の発展に寄与し、牝系に影響を残した同馬であったが、サラブレッド生産の黎明期とも言えるこの時期においては、活躍馬の多くが日本土着牝馬或いは濠州輸入牝馬との配合により生産されており、血統登録された所謂「サラブレッド」の定義から外れるものが多く、わが国においても「正統な」サラブレッドが誕生していくにつれて、初期の活躍馬の直系子孫は早々とサラブレッドの歴史から消えてしまった。しかし、ビューチフルドリーマー*系をはじめとする、小岩井農場輸入の基礎牝馬群を通じてその血は現代まで脈々と受け継がれている。
ライトアスセンション* Right Ascension 牡 1904 栗毛 GB 1907年輸入 |
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ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB 英三冠馬 |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon 鹿 1881 GB |
ｶﾞﾛﾋﾟﾝ Galopin |
Vedette |
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Flying Duchess | |||
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ｾｲﾝﾄｱﾝｼﾞｪﾗ St.Angela |
King Tom | ||
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Adeline | |||
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ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita 黒鹿 1881 GB |
ﾊﾝﾌﾟﾄﾝ Hampton |
Lord Clifden | |
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Lady Langden | |||
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ﾊｰﾐｵﾝ Hermione |
Young Melbourne | ||
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La Belle Helene | |||
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ﾃｨｱｰｽﾞｵﾌﾞｼﾞｮｲ Tears of Joy 1895 GB |
ｱﾝﾌｨｵﾝ Amphion |
ﾛｰｽﾞﾍﾞﾘｰ Rosebery |
Speculum |
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Ladylike | |||
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ｽｰｻｲﾄﾞ Suicide |
Hermit | ||
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Ratcathers Daughter | |||
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ﾒﾘｰﾀﾞﾝｽ Merry Dance 1879 |
ﾄﾞﾝｶｽﾀｰ Doncaster |
Stockwell | |
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Marigold | |||
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ﾊｲﾗﾝﾄﾞﾌﾘﾝ Highland Fling |
Scotch Gift | ||
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Masquerade |
F.No.［14］
《繁殖成績》
明治40年（1907）輸入
明治41年（1908）4月 供用開始（岩手県・岩手種馬所）
大正7年（1918）3月 鹿児島県・鹿児島種馬所に移動
昭和3年（1928）8月 供用停止 売却
ライトアスセンション* Right Ascensionはダイヤモンドウェッディングより早く本邦に輸入されたダイヤモンドジュビリー産駒である。ダイヤモンドウェッディングとほぼ同じ時期を種牡馬として過ごし、ダイヤモンドウェッディングが活躍馬を出し始めると、鹿児島に送られた。わが国血統史上ほとんど足跡を残してはないようである。
ライトアスセンション* Right Ascension 1904
｜ウヅキ （血統名 松屋敷） 洋 （母 外面 濠洋）牡 栗毛 1912 岩手・御返地 産 14勝
｜マツカゼ （血統名 松風） 雑 （母 萬代 雑）牡 鹿毛 1910 岩手・斗米村 産
｜ナミハナ （血統名 松風） 雑 （母 ？ 雑）牡 栗毛 1909 岩手・一戸 産
｜カイジュン （血統名 青山） 雑 （母 ？ 雑）牡 栗毛 1912 岩手・御返地 産
｜ライト 洋 （母 菫香）牡 栗毛 1912 岩手・大更 産
｜ライデン 洋 （血統名 雷電）牡 栗毛 1920 鹿児島・指宿 産
種義 （前名）第二ビューチフルドリーマー 牝 明治45年(1912) 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
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ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
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St.Angela | |||
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ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
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Hermione | |||
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ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
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Mineraｌ | |||
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ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
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Maid of Palmyra | |||
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ビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamer 栗 1903 GB 1907年輸入 |
ｴﾝｼｭｰｼﾞｱｽﾄ Enthusiast 栗 1886 GB |
ｽﾀｰﾘﾝｸﾞ Sterling |
Oxford |
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Whisper | |||
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ﾁｪﾘｰﾀﾞｯﾁｪｽ Cherry Duchess |
The Duke | ||
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Mirella | |||
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ﾚﾎﾟｿｰ Reposo 栗 1894 GB |
ｱﾝﾌｨｵﾝ Amphion |
Rosebery | |
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Suicide | |||
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ﾓﾉﾄﾐｰ Monotomy |
See Saw | ||
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Orchestra |
FNo.［12］
わが国に根付いた牝系を辿ると、ダイヤモンドウェッディング*の影響を受けているものは少なくない。中でもビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamerを母とする種義はわが国でも最上級の名牝系であり、無数の名馬を送り出している。大昔に途絶えてしまった父系が無くとも、この種義を送り出したことで、ダイヤモンドウェッディング*は本邦血統史においての最も影響力のある種牡馬の１頭といえよう。
【種義 初期牝系図】
Beautiful Dreamer ビューチフルドリーマー*
｜種義（ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding）
｜｜エキセレンシー (競)キンテン（牡 ガロン*）………………帝室御賞典
｜｜アストラル（チャペルブラムプトン* Chapel Brampton）……帝室御賞典
｜｜｜カブトヤマ（牡 シアンモア* Shian Mor）…………………ダービー、帝室御賞典
｜｜｜ガヴァナー（牡 シアンモア* Shian Mor）…………………ダービー
｜｜｜ロッキーモアー（牡 シアンモア* Shian Mor）……………天皇賞
｜｜｜第参アストラル（シアンモア* Shian Mor）
｜｜｜｜オーマツカゼ（ダイオライト* Diolite）
｜｜｜｜｜チェリオ（プリメロ* Primero）………………………最優秀古牝馬
｜｜｜｜｜マーヴェラス（プリメロ* Primero）
｜｜｜｜｜｜ラインランド（ライジングフレーム* Rising Flame）
｜｜｜｜｜｜｜ハヤフブキ（タリヤートス*）
｜｜｜｜｜｜｜｜タケフブキ（パーソロン* Partholon）………オークス
｜｜｜｜｜｜｜｜タケホープ（インディアナ* Indiana）………年度代表馬
｜｜｜｜｜ケゴン（牡 プリメロ* Primero）……………………皐月賞
｜｜｜｜｜マツカゼオー（牡 トサミドリ）………………………最優秀３歳牡馬
｜｜｜｜｜オーハヤブサ（ヒンドスタン* Hindostan）…………オークス
｜｜｜｜｜｜ワールドハヤブサ（ダイハード* Die Hard）
｜｜｜｜｜｜｜ビクトリアクラウン（ファバージ* Faberge）……最優秀３・４歳牝馬
｜｜｜｜｜｜｜ミスオーハヤブサ（パーソロン* Partholon）
｜｜｜｜｜｜｜｜チヨダマサコ（ラバージョン* Lover John）
｜｜｜｜｜｜｜｜｜ニッポーテイオー（リィフォー* Lypheor）…最優秀古牡馬・最優秀スプリンター2回
｜｜｜｜｜｜｜｜｜タレンティドガール（リマンド* Remand）…エリザベス女王杯
｜｜賢宝（チャペルブラムプトン* Chapel Brampton）
｜｜｜ダイナモ（牡 トウルヌソル* Tournesol）………………帝室御賞典
｜｜ハクヨシ（牡 チャペルブラムプトン* Chapel Brampton）…帝室御賞典
｜｜雪義（トウルヌソル*）⇒エルプス、レオダーバン、エリモジョージ、テイエムオーシャン
ビューチフルドリーマー*は生涯を通して殆どインタグリオー*を配合されて仔を出しており、牝馬としては第三ビューチフルドリーマーが種義と並ぶ巨大ファミリーを形成している。小岩井農場に繋養されたビューチフルドリーマー*に、同じく小岩井農場が輸入したインタグリオー*が交配されたのは極めて自然なことであるし、名繁殖牝馬に名種牡馬をつけるのは馬産の王道で、晩年以外はほぼ毎年インタグリオー*が種付けされている。しかし、明治40年（1907）に輸入されたインタグリオー*の最初の活躍馬がフラストレート*の仔レッドサイモンで、明治45年（1912）秋の帝室御賞典と連合二哩に勝って、この年以降インタグリオー*産駒は連合二哩を4連勝してその名を轟かすのだが、種義はこのレッドサイモンの活躍が始まる前の明治44年（1911）の種付である。この時点ではまだビューチフルドリーマー*産駒もインタグリオー*産駒も本格的に走り出す前で、ダイヤモンドウェッディング*もまだ供用2年目で産駒が走っておらず、恐らくはたまたま（といっても当時の馬産の中心地であるが）近くにいたダイヤモンドウェッディング*が選ばれたのであろう。このような偶然から、種義が生まれ、これだけの素晴らしいファミリーラインが生まれたのは、サラブレッド生産の深淵をのぞくようで実に興味深い。
【ビューチフルドリーマー*の全種付馬】
種付年次
1907（明治40）輸入
1908（明治41） インタグリオー* ………………第五インタグリオー (競)インタグリオ
1909（明治42） インタグリオー* ………………第十四インタグリオー （生後直死）
1910（明治43） インタグリオー* ………………第十八インタグリオー (競)エチゴ
1911（明治44） ダイヤモンドウェッディング* …種義 牝
1912（明治45） インタグリオー* ………………第三十インタグリオー (競)フブキ
1913（大正2） インタグリオー* ………………第三十六インタグリオー（当歳時斃死）
1914（大正3） インタグリオー* ………………第三十九インタグリオー (競)ゴール
1915（大正4） インタグリオー* ………………清駒 （前名）第四十四インタグリオー (競)カメオ
1916（大正5） インタグリオー* ………………第三ビューチフルドリーマー
1917（大正6） インタグリオー* ………………第四ビューチフルドリーマー
1918（大正7） ガロン …………………………第二ガロン (競)スターリング
1919（大正8） コイワヰ ………………………第五ビューチフルドリーマー (競)チェリーダッチェス
1920（大正9） コイワヰ ………………………不受胎
グラビッドダイヤ 牡 大正4年(1915) 鹿毛 JPN 北海道 日高種馬牧場生産 |
朝鮮江原道淮陽郡蘭谷面 李王職蘭谷牧場で供用
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ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
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St.Angela | |||
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ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
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Hermione | |||
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ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
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Mineraｌ | |||
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ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
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Maid of Palmyra | |||
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ビットオブブラーネー* Bit of Blayney 1907 GB 1913年輸入 |
ｼﾞｪﾈﾗﾙﾋﾟｰｽ General Peace 鹿毛 1894 IRE |
ｶﾞﾘﾆｭｰﾙ Gallinule |
Isonomy |
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Moorhen | |||
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ﾓｲﾗ Moira |
Victor | ||
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Lady Jacob | |||
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ﾍﾞﾙｵﾌﾞﾌﾞﾗｰﾈｰ Belle of Blayney 1890 |
ﾎﾞﾅﾝｻﾞ Bonanza |
Sterling | |
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Diddington | |||
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ﾍﾞﾙｵﾌﾞｻﾞﾎﾞｰﾙ Belle of the Ball |
Belladrum | ||
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Mousseline de Laine |
F.No.［19-a］
戦前の馬産が国策であり軍馬育成・富国強兵策の一翼を担っていたならば、中国大陸、とりわけ日本による占領下にあった朝鮮半島においても馬産は行われた。本馬は朝鮮で供用された種牡馬である。江原道は現在の韓国と北朝鮮にまたがる地域に日本占領時代におかれた行政区で、淮陽郡は現在の南北軍事境界線の北に位置する。史料によると、この李王職蘭谷牧場は昭和15年（1940）当時、競走馬市場に20頭を上場し19頭を売却。１頭の平均額は3641円である。宮内庁下総牧場の上場が16頭、全頭売却で平均31606円、小岩井農場が16頭全頭売却で平均25910円、社台牧場が16頭中12頭売却で16325円、東京や阪神の競馬場でのセリは上場頭数がこの数倍で売却頭数もほぼ2倍で平均売却額が7000円～9000円であった。昭和17年（1942）の記録によると、朝鮮半島では3頭のサラブレッド種牡馬が供用され、年間20数頭のサラブレッドを生産、そのほかサラ系、純サラを10数頭、アラブ馬を数頭生産していた。これは日本全体の生産頭数の約2%に相当する。少なくとも大連には競馬倶楽部が設立され、支那産馬を中心にした競馬が行われ、サラブレッドも少ない割合では生産されていた。朝鮮半島産の競走馬が日本国内でサラブレッド競走馬として出走していたかは未調査です。
本馬は大正10年ごろに障害レースで入着の記録があります。
朝鮮方面で供用された馬として、グラビッドダイヤのほか、華王、若草、ハクショウ、得正、アスフォード、第二十七インタグリオーなどの種牡馬も大陸に渡って李王蘭谷牧場で供用されています。繁殖牝馬では第四プロポンチス（インタグリオー*×プロポンチス*）、賢宝（チャペルブラムプトン×種義）、慶臣（ダイヤモンドウェッディング*×グローリヤス）、ポールスター（ラシボニー×第五プロポンチス）、カチドキ（ルーヂゲーア*×第二ラヴアレリー）、威虹（イボア*×レインボウ）、朝舞（トウルヌソル*×慶臣）、姫雷（タラップ*×メイビイソウ*）、蕾秀（ペリオン*×第五シルバーバットン）、リング（第二十七インタグリオー×威虹）、第一ローアス（インフォーメーション*×ロアースヲラフター* ※京畿道水原郡 李王職水原牧場から李王蘭谷牧場へ）、浪重（ロイヂュール*×第三ノヴァパアセイ）
【産駒】
ウインド(競)グラビッドカップ（f/栗/李王蘭谷牧場生産／母第四プロポンチス/岡田康平所有）
レッドウヰング （前名）第一オーリンダー 牝 大正4年(1915) 鹿毛 JPN 青森県七戸 奥羽種馬牧場生産 S・アイザックス氏（ステーツ氏）所有 |
18勝 主な勝鞍／帝室御賞典
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
オーリンダセコンド* Orlinda 栗 1907 GB 1912年輸入 |
ｵﾙｳﾞｨｴﾄ Orvieto 鹿 1888 GB |
ﾍﾞﾝﾄﾞｱ Bend Or |
Doncaster |
|
Rouge Rose | |||
|
ﾅﾎﾟﾘ Napoli |
Macaroni | ||
|
Sunshine | |||
|
ﾘﾝﾀﾞ Linda 鹿 1902 GB |
ｷﾞｬﾛﾋﾟﾝｸﾞﾗｯﾄﾞ Galloping Lad |
Galopin | |
|
Braw Lass | |||
|
ﾀｳﾞｨﾗ Tavira |
Crowberry | ||
|
Marbella |
F.No.［6-b］
有馬記念を制したイシノアラシの6代母が当馬レッドウヰングである。レッドウヰングは現役時代に18勝したなかなかの強物で、大正7年（1918）秋の東京の帝室御賞典競走を制した。レッドウヰングは翌年には阪神に遠征し、初日の呼馬戦にレコード勝ちをして、二日目に当時阪神での最高賞金レース（一着賞金1,500円）を制して引き上げた。アイザックス氏が持ち馬を関西に遠征させたのはこの時だけであった。
【レッドウヰングの主な競走成績】
|
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム （着差） |
重量 |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
|
大正7 |
秋 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
14 |
1 |
2.05.70 |
126 |
佐藤嘉 |
- |
|
8 |
秋 |
阪神 |
呼馬 |
1 1/4M |
- |
1 |
R2.07.79 |
- |
- |
- |
|
|
秋 |
阪神 |
呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
- |
1 |
2.35 |
- |
- |
- |
レッドウヰングは母として帝室御賞典、中山記念など10勝したアトランタという牝馬を出した。アトランタは記録に残る二頭の牝馬を残したが、そのうちラコナはイシノアラシの母系祖先となり、ユリカは桜花賞馬ミスリラと京都大障害勝馬カムイダケを出した。ミスリラは最優秀障害馬のヤマニンダイヤをはじめ、3頭の重賞勝馬を出した。近年ではメイショウジェニエが出ている。そのほかレッドウヰングの子孫には目黒記念勝馬ミツカゼなどが出ているが、特筆すべきはフジノシャークに始まる近年の活躍牝系でアルファジェス、アルファローズ、アルファレックス、アルファキュートなどを輩出中である。
ダークメード アア 牝 大正6年(1917) 栗毛 JPN 千葉県 下総御料牧場生産 服部宗右衛門所有 |
主な勝鞍／帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
第四パレード アア 栗 1910 JPN |
ブラマンテー* Bramante 鹿 1898 GB |
ﾍﾞｽﾄﾏﾝ Best Man |
Ormonde or Melton |
|
Wedrock | |||
|
ﾊﾞｰﾚｯﾀ Barletta |
Barcaldine | ||
|
Cipollina | |||
|
パレード アア 鹿 1899 JPN |
第五ブラドレー アア 芦 1884 |
ブラドレー* | |
|
ウオールダンスベリ* | |||
|
第四吾妻 アア 栗 1885 |
ローストン* | ||
|
吾妻 FRA アラブ |
ダークメードはその血統中の、ダイヤモンドウェッディングの母ウェドロック Wedlockのクロスが目を引く。母第四パレードの父ブラマンテー*の父ベストマンがダイヤモンドウェッディングの半兄で、ジュライカップの勝馬であるから、むしろダイヤモンドウェッディング*がベストマンの半弟というべきだろう（ダイヤモンドウェッディング*産駒でエスサーディー*を母とするベストマンという名の種牡馬がいるからややこしい）。ブラマンテー*は輸入種牡馬としては大正6（1917）年の優勝内国産馬連合勝馬ピーターパンを出したほか、前述の第五吾妻の子孫との間に数頭アラブの産駒を設けて血統表中に名をとどめている。第四パレードは繁殖牝馬としてすこぶる良績を残し、本馬ダークメードのほか、第六チャペルブラムプトン（(競)チャペル）、キタノホシという三頭の帝室御賞典勝馬を輩出した。その血を買われ、残る産駒の総捷、賢駿も種牡馬となった。
競走馬としてのダークメードの成績はすばらしく、帝室御賞典と優勝内国産馬連合競走の当時の二大レースを制している。また、東京での優勝戦では当時のコースレコードを記録している。
【ダークメードの主な競走成績】
|
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム （着差） |
重量（斤） |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
|
大正10 |
4/30 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
10 |
2 |
頸 |
127 |
美馬勝 |
ダアーター |
|
|
5/1 |
東京 |
呼馬 |
1 1/2M |
8 |
2 |
1 1/2馬身 |
122 |
美馬勝 |
クヰンマリー |
|
|
5/7 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
9 |
1 |
4.01.73 |
125 |
美馬勝 |
カツヤマ |
|
|
11/12 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
7 |
3 |
鼻-1/4 |
137 |
美馬勝 |
クヰンマリー |
|
|
11/19 |
東京 |
各内国産ハンデ |
1 1/4M |
3 |
1 |
2.12.07 |
133 |
美馬勝 |
カメオ |
|
|
11/20 |
東京 |
呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
1 |
*3.09.21 |
130 |
徳田 |
チンゼイ |
|
大正11 |
4/15 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
6 |
2 |
5馬身 |
145 |
美馬勝 |
ウードコック |
|
|
4/16 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
12 |
3 |
8-1 1/2 |
127 |
美馬勝 |
イロハ |
|
|
4/22 |
東京 |
内国産ハンデ |
1 1/4M |
5 |
3 |
4-2馬身 |
145 |
美馬勝 |
ホーンビーム |
|
|
4/23 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
4 |
2 |
10馬身 |
145 |
美馬勝 |
キヨコマ |
|
|
11/5 |
東京 |
呼馬 |
1 1/4M |
8 |
3 |
頸-4馬身 |
142 |
美馬勝 |
プリンセス |
|
|
11/11 |
東京 |
内国産ハンデ |
1 1/4M |
3 |
3 |
3 1/2-3 |
135 |
美馬勝 |
キヨコマ |
|
大正12 |
4/29 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
5 |
3 |
3-1馬身 |
125 |
美馬勝 |
ピューアゴウルド |
|
|
5/5 |
東京 |
内国産ハンデ |
1 1/4M |
3 |
2 |
5馬身 |
130 |
美馬勝 |
オーキツド |
|
|
春 |
福島 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
|
1 |
2.01.0 |
133 |
稲葉 |
|
ハツタマ 牡 大正6年(1917) 鹿毛 JPN 千葉県 下総御料牧場生産 駒田三男所有 |
【主な勝鞍】帝室御賞典
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
第三モント アア 栗毛 1909 ＪＰＮ |
ブラマンテー* Bramante |
ﾍﾞｽﾄﾏﾝ Best Man |
Ormonde or Melton |
|
Wedlock | |||
|
ﾊﾞｰﾚｯﾀ Bareletta |
Barcaldine | ||
|
Cipollina | |||
|
モント アア 鹿毛 1901 ＪＰＮ |
ミグノン* アア |
| |
|
| |||
|
第二東山 アア |
ユスーフ* アラ | ||
|
東山 ［15-c］ |
大正10年（1921）春に阪神の帝室御賞典を勝った。半弟トニーも帝室御賞典勝馬。
【ハツタマ】
|
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム （着差） |
重量 |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
|
大正10 |
春 |
阪神 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
|
1 |
1.47.95 |
131ﾎﾟﾝﾄﾞ |
友村 |
|
ウェッディングサーフ 牝 大正7年(1918) 鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Ｐｅｒｄｉｔａ |
Hampton | ||
|
Ｈｅｒｍｉｏｎｅ | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
第四ヘレンサーフ 黒鹿 1911 JPN |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
ﾁﾙﾄﾞｳｨｯｸ Childwick |
St.Simon |
|
Plaisanterie | |||
|
ｶﾒｵ Cameo |
Thurio | ||
|
Light of Other Days | |||
|
ヘレンサーフ* Helen Serf 黒鹿 1903 GB |
ｾﾝﾄｻｰﾌ St.Serf |
St.Simon | |
|
Feronia | |||
|
ﾍﾚﾝﾊﾝﾌﾟﾄﾝ Helen Hampton |
Hampton | ||
|
Helen Agnes |
ダイヤモンドウェッディング*の血をひくもう一つの重要牝系であるウェッディングサーフは母第四ヘレンサーフの父がインタグリオー* Intaglio、祖母ヘレンサーフ*の父がSt.Serfであり、St.Simonの強いクロス（３×４×４）を持っていることを指摘しておこう（同時にHampton４×４、Lord Clifden５×４×５も成立）。このようにダイヤモンドウェッディング*は、特に小岩井農場のインタグリオー*牝馬によく配合されたようであるが、単純に名牝に名種牡馬を交配したというだけではなく、かなり意図的にSt.Simonの近交を行い、その優れた能力を固定しようとしていたことが伺える。当時の血統事情は、もちろんSt.Simonがもっとも優れそして最もありふれた血であることは当然ではあるが、漫然と配合すれば本来発生するはずのSt.Simonより前の時代のStockwellやGalopinのクロスは比較的注意深く避けられており、小岩井農場の基礎牝馬の血統構成が比較的異系血脈を多く含んでいることからも、その基礎牝馬にインタグリオー*、ダイヤモンドウェッディング*、さらに次代のガロン*やチャペルブラムプトン、更にシアンモア*といった種牡馬を利用してSt.Simonの血を重ねていった意図がうかがえる。（ここら辺の配合に関する検証は『日本サラブレッド配合史』が詳しい。近年復刊されたので興味をお持ちの方はぜひ一読するとよい。）
ウェッディングサーフの直仔の代では第拾四シアンモア (競)デンコウが帝室御賞典、目黒記念、中山四千米競走、農林省賞典競争など12勝をあげた。孫の代ではゴールドウェッディング (競)ブランドソール（中山４歳牝馬特別＝桜花賞、４･５歳牝馬特別、横浜農林省賞典４・５歳呼馬競走）、ゼネラル（天皇賞、農林省賞典競走）、らが出た。名競走牝馬として名高いブランドソールはヤシマアポロ（阪神３歳馬Ｓ）やタカハル（日本経済新春杯）らを産み、母系祖先としてトキノキロクやリニアクインを送り出した。
ゴールドウヰング （旧名）フワビアン 大正8年(1919) 鹿毛 JPN 千葉県 下総御料牧場 |
主な勝鞍／帝室御賞典
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
第三クロンファート 鹿 1913 JPN |
ルーヂゲーア* Ruadhsgeir 黒鹿 1905 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝﾐﾐ St.Simonmimi |
St.Simon |
|
Mimi | |||
|
ｵｰｳﾞｧｰｽﾀﾃﾞｨ Over Study |
Beauclerc | ||
|
Hysterical | |||
|
クロンファート* Clonfert 鹿 1903 GB |
ﾊｯｸﾗｰ Hackler |
Petrarch | |
|
Hackness | |||
|
ﾃﾞｨﾝﾅ Dympna |
St.David | ||
|
Court Card ［14］ |
ゴールドウヰングは下総御料牧場が大正12年にいったんサラブレッド生産を中止する前の生産馬である。
大正14年春の阪神競馬場での帝室御賞典に勝った。大正14年は、このゴールドウヰングのほか、小倉と横浜の帝室御賞典もダイヤモンドウェッディング産駒が優勝した年である。名馬バンザイも現役で、まったく当時の競馬会はダイヤモンドウェッディング旋風が巻き起こったというところだろう。
種牡馬として、重賞勝馬フクフジ（アラブ系馬障碍大競走（昭和9年春 小倉）3600m 勝タイム4.36.2）を出した。
【繁殖成績】
昭和6(1931)年より供用（北海道河東郡鹿追村、中川郡池田町）
昭和12(1937)年廃用
|
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
|
フクフジ サラ雑 |
- |
牡 |
1930 |
- |
アラフジ アア雑 |
- |
アラブ系馬障碍大競走 |
|
|
キントキマサル サラ雑 |
富士 |
牡 |
1929 |
鹿 |
アラフジ アア雑 |
日高・三石 小笠原林之助生産 |
|
渡邊豊蔵氏所有 |
|
キンセイ サラ雑 |
金盛 |
牡 |
1929 |
栗 |
有盛 サラ雑 |
日高・波惠 中村竹次郎生産 |
6勝（昭和7年秋抽籤新馬レコード勝等） |
西田豊 |
ラレド (競)ラレード 牡 大正9年(1920) 鹿毛 JPN 栃木県姿川村 中倉保生産 S・アイザックス氏（ステーツ氏）所有 |
13勝 主な勝鞍／帝室御賞典、各内国抽籤濠州産馬混合競走、②帝室御賞典
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
スクールベル* School Bell 鹿 1904 USA 1916年輸入 |
ﾊﾞｾｯﾄﾛｰ Bassetlaw 鹿 1890 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾏｰｷｻ Marquesa |
Blair Athol | ||
|
Murica | |||
|
ｱﾒﾘｱﾌｫﾝｿ Amelia Fonso 鹿 1893 USA |
ﾌｫﾝｿ Fonso |
King Alfonso | |
|
Weatherwitch | |||
|
ｱﾒﾘｱﾋﾟｰ Amelia P. |
Leonatus | ||
|
Effie C. ［A39］ |
石炭油の輸入に携わっていたS・アイザックス氏は明治40年（1907）に日本レースクラブ理事長となり、後に初代の日本競馬会横浜競馬場長となった。ラレードはS・アイザックス氏がステーツ氏名義で所有馬していた競走馬の代表格で、バンザイの物語では脇役の存在ながら、ラレードも決して凡馬ではない。バンザイの戦績をみるとわかるが、バンザイとラレードの2頭立てで行われたレースが3回ある。その3回ともにラレードはバンザイの後塵を拝することとなるが、それでもレースに参加したのがこの2頭だけだったのは、この2頭が強すぎるために他馬が回避してのことだった。当時は最下位の馬には賞金は出なかったから、優勝戦とはいえラレードはバンザイとのマッチレースでは一円も稼いではいない。ラレードはバンザイとよく争ったが、バンザイよりも長く競走生活を送り、大正14年の秋に横浜で帝室御賞典を勝った。勝時計1.55.20は1哩1分（＝1 1/8M）時代の横浜の帝室御賞典としては最高タイムである。翌年には秋の各内国抽籤濠州馬混合競走（現在の目黒記念）も制した。
【ラレードの主な競走成績】
|
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム （着差） |
重量（斤） |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
|
大正13 |
4/26 |
東京 |
新呼馬 |
1 1/8M |
2 |
2 |
7馬身 |
120 |
佐藤嘉七 |
バンザイ |
|
|
4/27 |
東京 |
新呼馬 |
1 1/8M |
単 |
1 |
2.01.17 |
128 |
佐藤嘉七 |
- |
|
|
5/4 |
東京 |
新呼馬優勝戦 |
1 1/4M |
2 |
2 |
大差 |
128 |
佐藤嘉七 |
バンザイ |
|
|
7/5 |
横浜 |
各内国産馬 |
1M |
2 |
1 |
1.44.20 |
131 |
佐藤嘉七 |
ゴールドウヰング |
|
|
7/13 |
横浜 |
各内国産馬優勝戦 |
1 1/4M |
3 |
1 |
2.08.20 |
130 |
佐藤嘉七 |
ラシカッター |
|
|
11/15 |
東京 |
内国産馬特ハン |
1 1/4M |
10 |
3 |
1/2 – 2 |
136 |
佐藤嘉七 |
レデースバットン |
|
|
11/16 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
6 |
2 |
2 1/2馬身 |
128 |
佐藤嘉七 |
フロラーカップ |
|
|
11/22 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
2 |
2 |
8馬身 |
128 |
佐藤嘉七 |
バンザイ |
|
大正14 |
5/9 |
東京 |
各内国産馬ハンデ |
1 1/4M |
10 |
6 |
|
|
|
ロビンソン |
|
|
11/7 |
横浜 |
オールカマーＨ |
1 1/8M |
9 |
1 |
1.55.20 |
136 |
佐藤嘉七 |
チャペル |
|
|
11/8 |
横浜 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
4 |
1 |
1.55.20 |
130 |
佐藤嘉七 |
フクタマ |
|
|
11/15 |
横浜 |
各内国産馬優勝戦 |
1 1/4M |
5 |
1 |
2.12.00 |
143 |
佐藤嘉七 |
アストラル |
|
|
11/22 |
東京 |
内国産馬特ハン |
1 1/4M |
5 |
1 |
2.11.08 |
143 |
佐藤嘉七 |
トニー |
|
|
11/29 |
東京 |
各内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
4 |
2 |
4 1/2馬身 |
139 |
佐藤嘉七 |
バンザイ |
|
大正15 |
5/1 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
13 |
2 |
4馬身 |
148 |
佐藤嘉七 |
トニー |
|
|
5/2 |
東京 |
各内国抽籤濠州産馬混合競走 |
2 1/8M |
6 |
3 |
5 – 3 1/2 |
127 |
佐藤嘉七 |
レンド |
|
|
5/15 |
横浜 |
各内国産馬 |
1 1/4M |
9 |
1 |
2.08.30 |
148 |
佐藤嘉七 |
ジュンプウ |
|
|
5/23 |
横浜 |
各内国産馬優勝戦 |
1 1/2M |
3 |
2 |
6馬身 |
141 |
佐藤嘉七 |
タマカゼ |
|
|
11/6 |
横浜 |
オールカマーＨ |
1 1/8M |
4 |
2 |
2 1/2馬身 |
141 |
佐藤嘉七 |
クモカゼ |
|
|
11/7 |
横浜 |
各内国産馬 |
1 1/2M |
3 |
1 |
2.35.80 |
143 |
佐藤嘉七 |
カノウ |
|
|
11/14 |
横浜 |
各内国産馬優勝戦 |
1 1/2M |
4 |
1 |
2.37.80 |
143 |
佐藤嘉七 |
アスベル |
|
|
11/21 |
東京 |
各内国抽籤濠州産馬混合競走 |
2 1/8M |
5 |
1 |
3.48.66 |
127 |
佐藤嘉七 |
アキラ |
|
|
11/28 |
東京 |
呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
5 |
2 |
2馬身 |
147 |
佐藤嘉七 |
コウエイ |
※重量の斤は英斤すなわちポンドを表す
ラレードは昭和2年に史上2頭目の政府購買馬として買い上げられた。購入額はバンザイに及ばず9000円だった（同年英国より輸入された種牡馬トウルヌソル*の購入価格は輸送費なども含め11万円を超えたという）。ラレードはラレドの繁殖名で青森種馬所で供用され、サラナツク（阪神記念）やダイヤキング アア（小倉・アラブ系馬障碍大競走）などの重賞勝馬を輩出した。種牡馬となって、バンザイを逆転したのであった。
|
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
|
サラナツク |
- |
牡 |
1930 |
鹿 |
ヤハギガワ* |
栃木県姿川村 中村保生産 |
阪神記念 |
別項参照 |
|
ダイヤキング アア |
- |
牡 |
1929 |
- |
老鶯 |
- |
アラブ系馬障碍大競走 |
|
|
ベル |
清風 |
牝 |
1930 |
鹿 |
第二清花ノニ |
青森県豊崎 津島留吉生産 |
|
坂本宇七氏所有 |
|
ギフニシキ 雑 |
光雷 |
牝 |
1931 |
鹿 |
光雲 アア雑 |
青森県三本木 櫻田三千三生産 |
|
畠山政右衛門氏所有 |
|
パーラム |
宮松 |
牡 |
1932 |
鹿 |
小松 |
青森県 松倉勘次郎生産 |
3勝･障7勝 （アラブ系抽籤馬障碍、③優勝戦） |
升谷長治氏所有 |
サラナツク 牡 1930 鹿毛 JPN 栃木県姿川村 中倉保生産 S・アイザックス氏（ステーツ氏）所有 |
10勝・障1勝 主な勝鞍／阪神記念
|
(競)ラレード ラレド 鹿毛 1920 JPN 帝室御賞典など13勝 |
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee |
St.Simon |
|
Perdita | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock |
Wenlock | ||
|
Cybele | |||
|
スクールベル* School Bell 鹿 1904 USA |
ﾊﾞｾｯﾄﾛｰ Bassetlaw |
St.Simon | |
|
Marquesa | |||
|
ｱﾒﾘｱﾌｫﾝｿ Amelia Fonso |
Fonso | ||
|
Amelia P. | |||
|
ヤハギガワ* Flipling 栗 1919 AUS 1勝 1925年輸入 |
ﾌﾘｯﾊﾟﾝﾄ Flippant 1910 GB |
ﾏﾙｺｳﾞｨﾙ Marcovil |
Marco |
|
Lady Villkins | |||
|
ﾌﾘｯﾀｰｽﾞ Flitters |
Galopin | ||
|
Ierne | |||
|
ﾂｲﾝﾘﾝｸﾞ Twinling 1910 GB |
The Wag |
Orme | |
|
Plaisanterie | |||
|
Vitula |
St.Serf | ||
|
Chaff ［14-a］ |
バンザイ 牡 大正10年(1921) 鹿毛 JPN 栃木県西那須野町 千本松牧場生産 久保熊彦所有 |
13戦11勝 主な勝鞍／帝室御賞典（東京）、優勝内国産馬連合
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
(競)ホーヱイ 宝永* 1909? AUS 帝室御賞典 |
ﾙｰﾑﾊﾞｰ Loombah 1900 AUS |
Grafton 1894 GB |
Galopin |
|
Maid Marian | |||
|
Bragibagee 1886 AUS |
Forest King | ||
|
Verbena | |||
|
ｱｯﾋﾟｱﾗﾝｽ Appearance 1908 AUS |
Fucile 1893 AUS |
Carbine | |
|
Venice | |||
|
Handsome 1900 AUS |
Holbrook | ||
|
Ugly |
※上記血統表中、母宝永は公式には父母ともに血統不詳
ダイヤモンドウェッディング*の代表産駒のバンザイは、日本銀行の創設者として著名な明治期の宰相、松方正義公爵が那須に興した千本松農場の生産馬で、バンザイは千本松牧場の生産馬としては最高の活躍馬であるばかりか、戦前の日本競馬史上屈指の名馬である。水利の悪い那須野が原は一面葦の生い茂る未開の広野であったが、欧米視察を終えた薩摩藩出身の松方正義らは、明治新政府によって特権を奪われた侍のためのいわゆる士族授産の一環としてこの地の開拓に着手した。急速な改革に叛旗をあげた侍たちによって起こった西南戦争終結後の疲弊した日本経済を立て直し、初代以降大蔵大臣を歴任していた松方正義は、自身が財政の長を務める間に土地を持つのは不肖であるとしてこの開拓事業には本腰を入れていなかったが、難航する事業を立て直すため明治21年に本格的に開墾事業に乗り出し、牧場の経営を軌道に乗せることに成功した。牧場は最盛期には1600haを超える規模を誇り、馬産のほか林産、牧羊などの事業を行っていた。
千本松牧場はバンザイが出たときは牧場の経営は正義公の子息、宮内省御用達の十五銀行頭取、松方巌公爵の代で、松方公は牧場の番頭の久保熊彦の名前で所有馬を登録していた。当時は自家生産馬を所有するオーナーブリーダーは極めて珍しい存在だったという。バンザイの名は牧場内の松方邸宅の別名「万歳閣」に由来し、この名は皇太子時代の大正天皇が千本松牧場に滞在した折に、日露戦争における戦勝の報が届けられ一同万歳の声をあげたことに因む。バンザイは、大正13年（1924）春、目黒のデヴュー戦（1哩1/8≒1800m）をレコード勝ちした翌日、帝室御賞典（1哩1/8≒1800m）で120ポンドを背負って1.53.71の驚異的なレコードで勝った。どのぐらい驚異的であるかというと、前年の勝馬キンテンの走破タイムは2.00.47、大正5年（1916）に東京の帝室御賞典競走がこの距離になって以来、最も早い時計が大正8年（1919）のペットレルが記録した1.56.27であるから、2秒半、一気に短縮したこととなる。この記録は、レース体系がメートル法に切り替わるまで遂に更新されることは無かったが、次点は昭和2年（1927）のアストラルの1.55.05であり、昭和3年（1928）にメートル法の1800mになってからの最速がキタノホシ、カミツルの1.57.2である。このタイムがあまりにも早いため、当時は計測ミスではないかとの疑念が上がったほどであったという。
【帝室御賞典（東京）・1哩1/8≒1800mの走破タイム】
|
年 |
距離 |
タイム |
勝馬 |
負担重量 |
|
大正5秋 |
1哩1/8 |
2.02.35 |
キクハナ |
130ポンド |
|
6春 |
〃 |
2.00.60 |
ハナギリ |
131 |
|
6秋 |
〃 |
2.01.47 |
セントオーグスチノ |
135 |
|
7春 |
〃 |
2.00.80 |
ミンテンザ |
133 |
|
7秋 |
〃 |
2.05.70 |
レッドウヰング |
126 |
|
8春 |
〃 |
1.56.27 |
ペツトレル |
126 |
|
8秋 |
〃 |
2.02.23 |
ノラ |
123 |
|
9春 |
〃 |
1.56.65 |
ロロー |
120 |
|
9秋 |
〃 |
2.00.73 |
クヰンマリー |
123 |
|
10春 |
〃 |
1.57.11 |
クワンサイ |
123 |
|
10秋 |
〃 |
1.56.71 |
ウードコツク |
123 |
|
11春 |
〃 |
2.00.73 |
イロハ |
128 |
|
11秋 |
〃 |
1.56.97 |
オーキツド |
123 |
|
12秋 |
〃 |
2.00.47 |
キンテン |
130 |
|
13春 |
〃 |
1.53.71 |
バンザイ |
120 |
|
13秋 |
〃 |
1.56.68 |
フロラ－カツプ |
125 |
|
14春 |
〃 |
2.00.03 |
ラシカツター |
130 |
|
14秋 |
〃 |
1.57.69 |
カーネーション |
118 |
|
15春 |
〃 |
1.57.17 |
タチバナ |
128 |
|
15秋 |
〃 |
1.58.61 |
コウエイ |
123 |
|
昭和2春 |
〃 |
1.55.05 |
アストラル |
125 |
|
2秋 |
〃 |
1.57.67 |
ウヰンナー |
130 |
|
3春 |
1800m |
1.57.2/5 |
キングフロラー |
59ｷﾛ |
|
3秋 |
〃 |
2.01.4 |
キヨタキ |
58 |
|
4春 |
〃 |
1.58.3 |
ハツライ |
59 |
|
4秋 |
〃 |
1.58.2 |
クヰンホーク |
57.5 |
|
5春 |
〃 |
1.58.4 |
ヤングナカヤマ |
56 |
|
5秋 |
〃 |
1.57.2 |
キタノホシ |
59 |
|
6春 |
〃 |
1.57.2 |
カミツル |
56 |
|
昭和6年秋より2000mに改定 | ||||
バンザイは秋に阪神に西征した。この年から阪神にも連合競走が創設され、バンザイはこの第一回連合競走を目指しての西下と言われたが、当時は「松方公の３万円の名馬バンザイ来る」と一般紙に見出しが出るほどの一大事であったという。松方公は阪神競馬倶楽部の会員ではなかったため、初日と2日目は辰馬半右衛門氏の、3日目の連合二哩は久保熊彦氏の名義を借用して登録した。このような名義貸は現在では考えられないが、当時は日本を統一する競馬団体が存在せず、各地の競馬倶楽部によって運営されていたため、遠征の際はこのような馬主名義の貸し借りが普通に行われていたようである。これだけの名馬が遠征してきたとあって、開催前からすっかりバンザイに敵なしとの評判で、関西の馬主たちは所有馬を対戦させるのを避ける状況であった。ところが、バンザイは初日の呼馬戦でオーキッドに鼻差でよもやの敗戦を喫する。オーキッドの勝ちタイムは、前年にバンザイの半兄ピューアゴールドが記録したタイムを0.01秒更新するレコードで、その後7年更新されなかった。この敗戦のためか、バンザイは連合二哩を回避して4日目の優勝戦を楽勝した。名馬バンザイが出るとあって有力馬は連合二哩の登録を避けていたため、バンザイの抜けた第一回連合二哩は出走馬がわずか3頭で行われた。これほどの名馬がはるばる遠征して大レースに出ないとは松方公の意図がわからないと言われたそうだが、東京に戻ったバンザイはその後4連勝で優勝内国産馬連合競走（連合二哩）を8馬身差で勝った。2着は同じ父を持つラレード（後の帝室御賞典勝馬）である。翌年明けて5歳（旧）のバンザイは5戦4勝、この年新設されたニ哩一分（≒3400m）の各内国抽籤濠州産馬混合競走（現在の目黒記念）でラシカッター（種牡馬名ラシデヤー）に2着に敗れた以外は全勝し、13戦11勝の成績を残した。連対率は10割である。バンザイを調教したのは横浜根岸の仲住調教師であったが、バンザイは一度も根岸でレースをすることなく引退した。バンザイが負かした馬の中には前述のラレードのほか、やはり同じ父を持つゴールドウヰング（帝室御賞典）、フロラーカップ（帝室御賞典、連合二哩の勝馬。繁殖名フロリスト；ミナミホマレ、ガーネット等の祖）、エツリウ（帝室御賞典）などがいる。
【バンザイの全競走成績】13戦11勝
|
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム （着差） |
重量 |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
|
大正13 |
4/26 |
東京 |
新呼馬 |
1 1/8M |
2 |
1 |
*1.57.37 |
120 |
杉浦照 |
ラレード |
|
|
4/27 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
5 |
1 |
*1.53.71 |
120 |
杉浦照 |
エツリウ |
|
|
5/4 |
東京 |
新呼馬優勝戦 |
1 1/4M |
2 |
1 |
2.13.60 |
120 |
杉浦照 |
ラレード |
|
|
10/4 |
阪神 |
呼馬 |
1 1/4M |
9 |
2 |
鼻 |
124 |
杉浦照 |
オーキツド |
|
|
10/5 |
阪神 |
呼馬 |
1 1/8M |
2 |
1 |
1.57.45 |
129 |
杉浦照 |
カツタマ |
|
|
10/12 |
阪神 |
呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
2 |
1 |
2.37.71 |
124 |
杉浦照 |
オーキッド |
|
|
11/15 |
東京 |
呼馬 |
1 1/8M |
7 |
1 |
1.57.69 |
133 |
杉浦照 |
フロラーカツプ |
|
|
11/22 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
2 |
1 |
3.41.93 |
123 |
杉浦照 |
ラレード |
|
大正14 |
5/10 |
東京 |
呼馬 |
1 1/4M |
9 |
1 |
2.13.49 |
137 |
杉浦照 |
パアスプラウド |
|
|
5/17 |
東京 |
呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
4 |
1 |
3.20.51 |
135 |
杉浦照 |
ゴールドウヰング |
|
|
11/23 |
東京 |
各内国抽籤濠州産馬混合競走 |
2 1/8M |
6 |
2 |
4馬身 |
137 |
杉浦照 |
ラシカツター |
|
|
11/28 |
東京 |
呼馬 |
1 1/4M |
4 |
1 |
2.12.74 |
150 |
杉浦照 |
オーキツド |
|
|
11/29 |
東京 |
呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
4 |
1 |
2.45.07 |
139 |
杉浦照 |
ラレード |
※距離のMは哩を表す
バンザイは、大正15年（1926）からはじまった国による優秀競走馬買上げ・種牡馬入り制度の第一号として、農林省に一万円の高値で購入され、政府購買馬として萬歳の名で岩手県で繋養された（競走時代の獲得賞金は1万3633円）。昭和15年に購買が農林省から日本競馬会に移るまで、この価格以上で購入された馬はいない。日本競馬会が購買するようになってから突然購買額が3～4倍に跳ね上がっており、農林省価格はかなり相場よりも安いものであったのだろう。それまでは種牡馬というと、馬政局により最初から種牡馬にする目的で競走馬とはまったく別に生産・育成され、種牡馬として各地に配付されていた。馬産黎明期のわが国では、まだ血統のしっかりした種牡馬の絶対数が不足していたためにこのようなことが行われていたのである。この時代、馬産は極めて重要な国策のひとつであり、バンザイはわが国史上初めて、国によって「名馬」と認定された競走馬の第一号であるといえる。
しかしながら、バンザイは優良な成績を残した活躍産駒をほとんど残していないようである。種牡馬としては、萬歳産駒の勝ち上り率はまずまず優秀で、一定の評価は得ていたようだが、11世代300頭あまりの産駒からは今で言う重賞クラスの勝馬は結局でなかった。また、わが国でもサラブレッドの血統登録制度が確立されるにしたがい、萬歳は種牡馬としての魅力を失っていったようである。バンザイの母、宝永は、濠州からの輸入馬で血統不詳馬である。血統不詳馬といっても、そこいらの野山を走っていた馬を捕獲して連れてきたわけでは勿論なく、事務処理上の問題、早い話が輸出入時に血統証明書を紛失したのである。しかしそれゆえに、バンザイはサラブレッドではなく、当時の基準でいくと「内国産洋種」、現在で言うところのサラ系に分類される。いくら競走能力が高くとも、純粋なサラブレッドとして血統登録を行っていくうえでは、バンザイの血は生まれたときからハンデを背負っていた。宝永は非常に優秀な繁殖牝馬で、直仔の帝室御賞典勝馬にピュアゴールド（(競)ピューアゴウルド）、バンザイ、国宝（(競)カーネーション）、コウエイの4頭が出て、次の代にも農林省賞典競走の勝馬である緑（(競)ピュアソール）やダービーや天皇賞に勝ったスゲヌマがいる。子孫には70年代にダイオライト記念のホウユウヒダカ、しらさぎ賞のヤノセンショウが出た。
大正3年（1914）春、阪神の帝室御賞典をホーヱイという名の濠州産6歳牡馬が勝った。父はルームバー、母アッヒヤランス。逆算すればホーヱイは明治42年（1909）生まれということになる。一方、公式には宝永の輸入年次は不明となっているが、ホーヱイは大正2年に濠州から輸入された10頭のうちの1頭で、目黒や鳴尾でレコードを記録したなかなかの活躍馬であった。もし、ホーヱイ＝宝永であるならば、バンザイはホーヱイが13歳のときの産駒ということになる。『天皇賞競走史話』にはバンザイの母宝永は大正3年春の阪神で帝室御賞典受賞と明記してあり、『日本サラブレッド配合史』も宝永＝ホーヱイとしているようで、宝永の血統が父Loombah、母Appearanceとある。そこで当HPでは宝永＝ホーヱイとの推測に基づき血統表を作成した。ホーヱイの父、ルームバー Loombahは特徴的な馬名を持っており、Australian Thoroughbred Stud Bookで検索でき、1900年生まれの牡馬でまちがいなかろう。ルームバー Loombahの父グラフトン Graftonはオーストラリアのチャンピオン・サイヤーである。問題は母で、Appearanceの名で登録されているうち時代的にマッチするのは1908年生、父Fucile、母Handsomeという血統不詳の牝馬なのだが、いくらなんでもこのAppearanceが1908年生まれでその仔ホーヱイが1909年生まれというのはいかがだろうか。1908年の1月から1909年の12月までは最大約2年の間があり、絶対に不可能な数字ではない。
《繁殖成績》
大正15年供用開始 （岩手種馬所）
昭和11年9月7日 淘汰のため売却
|
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
|
ニホン |
第四フライビーター |
牝 |
1927 |
栗 |
第三フライビューター |
岩手県玉山 四戸正生産 |
|
佐野玉吉氏所有 |
マツカゼ 牡 大正10年(1921) 栗毛 JPN 千葉県 下総御料牧場生産 |
主な勝鞍／帝室御賞典、各内国産馬連合競走
|
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
|
St.Angela | |||
|
ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Perdita |
Hampton | ||
|
Hermione | |||
|
ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
|
Mineraｌ | |||
|
ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
|
Maid of Palmyra | |||
|
第七パンジー 栗 1907 JPN |
ボイターギドラン* アア 栗1894 HUN |
ﾎﾞｲﾀｰ Bojtar 1887 |
Pasztor HUN 1881 |
|
?? | |||
|
?? |
?? | ||
|
?? | |||
|
パンジー アア 栗 1891 JPN |
第五ブラドレー アア 芦 1884 |
ブラドレー* | |
|
ウオールダンスベリ* | |||
|
第五吾妻 アア 栗 1885 |
モンマース* | ||
|
吾妻 FRA アラブ |
マツカゼは大正14年春に阪神の各内国産馬連合競走（俗に「連合二哩」）と小倉の帝室御賞典を勝ち、二大タイトルを獲得した。
連合競走とは、馬政局が当時最高額の3000円の賞金を出す競走として明治44年（1911）に秋の目黒に「優勝内国産馬聯合競走」として創設された、全日本選手権競走ともいうべき日本一の大賞である。帝室御賞典が皇室からの御下賜品を授与される名誉を争うものであるのに対し、連合競走はその比類ない高額賞金を争う大レースで、帝室御賞典の2着の賞金が250円の時代（1着は御下賜品。賞金は無し）に、連合競走は2着馬にも1000円、3着でも500円の賞金を出した。帝室御賞典が横浜、東京、阪神で年2回行われ、後には小倉、福島、函館、札幌と各地で行われるに及び、その価値を相対的に落としていったのに対して、連合競走に出走できるのは各地の春季の競馬倶楽部の優勝戦において1・2着に入った馬に限られ、大賞というに相応しい競走であり、各地の優勝馬が集まる連合競走に出走し入着を果たした馬は全国に名声を轟かしたという。また一生に一度しか出走のチャンスがなかったため、東京優駿大競走（日本ダービー）が創設されるまでは、ダービーに相当するレースであったとも言える。連合競走は農林省賞典競走と名を変えながら、昭和12年まで続き、昭和13年にこれを引き継ぐ形で2マイルの帝室御賞典となった。旧帝室御賞典が1哩から1哩1分（1800m）で行われていたことを考えれば、3200mの長距離レースで、年間に東西で各一回という現在の天皇賞の形式は、旧帝室御賞典というよりは連合競走のスタイルを受け継いでいるといえる。その意味で、連合競走は現在の天皇賞の真のルーツともいえる大レースなのである。
母系は日本でも最も古い部類の名門で、四代母吾妻は、文久3年（1863）皇帝ナポレオン三世によってフランスから14代将軍徳川家茂公に贈呈された牝馬、高砂*（旧名パリ*）の持込馬である。当時大流行した蚕病のためヨーロッパの養蚕大国であったフランスは絶望的な損害を蒙り、江戸幕府は友好国フランスへ日本の養蚕紙を寄贈した。その答礼として送られた名駿26頭のうちの1頭である高砂*は、下総国佐倉に送られ、後の下総御料牧場の基礎牝馬となった。サラブレッド登録上、高砂*は血統不詳馬としてアラブに分類されているが、『宮内省下総牧場要覧』（昭和4）にはフランス産サラブレッドと明記されているという（フランスでは既に1851年からサラブレッドの血統登録が始まっていた）。子孫には数々の帝室御賞典勝馬が出た。（吾妻はわが国競馬発展の立役者である森謙吾氏の持馬としてオーストロ・ハンガリヤ皇帝杯に勝ったかもしれない。）目黒記念やオールカマーに勝ったイナボレスや、京浜盃や帝王賞を制した牝馬コーナンルビーも一族である。近年においてもハッコーディオス アア（平成11年NARアラブ系最優秀3歳馬）をはじめとして、コスメユーメー アア（平成15年南国優駿）、ツルギベンサー アア（平成15年アラブスプリンターＣ）といった重賞馬を輩出中である。第七パンジーの3代父Pastzorはハンガリー・セントレジャーの勝馬。その母Lady Patronessはオーストリア・ダービー等の大レースに勝った名牝である。
後継種牡馬として松典 アアを残した。
【マツカゼの主な競走成績】
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年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
着順 |
頭数 |
勝タイム （着差） |
重量（斤） |
騎手 |
2着馬（勝馬） |
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大正14 |
春 |
阪神 |
各内国産馬連合競走 |
2M |
1 |
7 |
3.37.55 |
128 |
布施 |
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春 |
小倉 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
1 |
3 |
2.05.01 |
128 |
布施 |
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【繁殖成績】
大正13(1924)年より供用（鹿児島県肝付郡）
昭和13(1938)年廃用
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産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
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シンカゼ 洋 |
シマカゼ |
牝 |
1929 |
栗 |
松島 |
鹿児島県鹿屋 鶴ヶ崎覚左衛門生産 |
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服部宗右衛門氏所有 |
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松典 アア |
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牡 |
1930 |
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慶歌 牝 大正7年(1923) 栗毛 JPN 北海道・静内 宮内省新冠牧場生産 |
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ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 鹿 1905 GB |
ﾀﾞｲﾔﾓﾝﾄﾞｼﾞｭﾋﾞﾘｰ Diamond Jubilee 鹿 1897 GB |
ｾｲﾝﾄｼﾓﾝ St.Simon |
Galopin |
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St.Angela | |||
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ﾊﾟｰﾃﾞｨﾀ Ｐｅｒｄｉｔａ |
Hampton | ||
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Ｈｅｒｍｉｏｎｅ | |||
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ｳｪｯﾄﾞﾛｯｸ Wedlock 栗 1884 GB |
ｳｪﾝﾛｯｸ Wenlock |
Lord Clifden | |
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Mineraｌ | |||
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ｻｲﾍﾞﾙ Cybele |
Marsyas | ||
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Maid of Palmyra | |||
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第四キーンドラー 栗 1913 JPN |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
ﾁﾙﾄﾞｳｨｯｸ Childwick |
St.Simon |
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Plaisanterie | |||
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ｶﾒｵ Cameo |
Thurio | ||
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Light of Other Days | |||
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キーンドラー* Keendragh 栗 1898 GB |
ｴﾝｼｭｰｼﾞｱｽﾄ Enthusiast |
Sterling | |
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Cherry Duchess | |||
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ｻﾆｰｻｲﾄﾞ Sunnyside |
Rostrevor | ||
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Solstice |
ビューチフルドリーマー*と同じエンシュージアストEnthusiast産駒の基礎輸入牝馬キーンドラー*Keendraghの血統上の違いを上げるとすれば、前者に比べて後者は極めて雑多の近交をもっていることがあげられる。ビューチフルドリーマー*がSir Herculus、Newminster、Orlandoの5×5のクロスであるのに対し、キーンドラー*はStockwell、West Australian、Birdcatcher、Touchstone、Orlando、Melbourne、Sir Herculusのクロスを持っている（勿論こうしたクロスは何代前まで遡るかによっても全然異なって見えるのだが）。このことはつまり、それぞれの母レポソとサニーサイドの差ということになる。
両者の子孫の発展の程度にこれほどまでに差がついたのは、或いはこの点に原因があるのかもしれない。基本的に、この時代の配合の方向としてはSt.Simonの血を重ねていく手法がとられており、実際にその手法で数々の名馬が誕生しているのだが、現実的に得られるSt.Simonの血脈はまだ選択肢としては極めて少ないもので、St.Simonの孫にあたる直系輸入種牡馬を累進交配していくこととなる。そのときにSt.Simonのクロスを比較的純粋に得られるのか、他のクロスも同時に成立してしまうのかによって、結果的にはファミリーの発展に差が出たということになる。もう少し次の時代になると、チャペルブラムプトン*やシアンモア*によって、直系ではないSt.Simon血脈が得られるようになり、配合の選択肢は広がるのだが、それまでにどのように血脈にSt.Simonを取り込んできたかが勝負の分かれ目だったのかもしれない。
慶歌自身は特別優秀な成績を残した繁殖牝馬というわけでもなく、重賞勝馬を残したわけでもないのだが、結果的には後世の時代に出た活躍馬の質と量から、キーンドラー*のファミリーとしては根幹的な役割を果たすことになった。慶歌の子孫では天皇賞馬シーマーが、現役のまま病死したトキノミノルにかわってセフト*の血を伝える優秀な後継種牡馬となったが、そのずっと後の時代に登場した、慶歌の子孫で最良の牝馬であるテスコガビーはやはり夭折してしまってファミリーの拡大に寄与しなかった。
タカオー 牡 昭和26年(1951) 鹿毛 JPN 北海道豊浦 飯原農場生産 |
27勝・公4勝 主な勝鞍／朝日盃、天皇賞、スプリングＳ、ＮＨＫ盃、東京杯、中山特別、函館記念、浦和記念
昭和32年輸出（ビルマ） 消息不明
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シーマー 鹿 1944 JPN 天皇賞など7勝 |
セフト* Theft |
ﾃﾄﾗﾃﾏ Tetratema |
ｻﾞﾃﾄﾗｰｸ The Tetrarch |
Roi Herode |
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Vahren | ||||
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ｽｺｯﾁｷﾞﾌﾄ Scotch Gift |
Symington | |||
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Maund | ||||
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ｳﾞﾞｫﾘｭｰｼﾞｭ Voleuse |
ｳﾞｫﾙﾀ Volta |
Valence | ||
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Agnes Velasques | ||||
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ｻﾝｳｫｰｼｯﾌﾟ Sun Worship |
Sundridge | |||
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Doctorine | ||||
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秀調 黒鹿 1936 JPN |
大鵬 |
シアンモア* Shian Mor |
Buchan | |
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Orlass | ||||
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フリッパンシー* Flippancy |
Flamboyant | |||
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Slip | ||||
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英楽 |
チャペルブラムプトン* Chapel Brampton |
Beppo | ||
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Mesquite | ||||
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慶歌 |
ダイヤモンドウェッディング* | |||
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第四キーンドラー | ||||
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(競)ツキライト タカマサ 栗 1944 JPN 6勝 |
クモハタ |
トウルヌソル* Tournesol |
ｹﾞｰﾝｽﾞﾊﾞﾗ Gainsborough |
Bayardo |
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Rosedrop | ||||
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ｿﾘｽﾄ Soliste |
Prince William | |||
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Sees | ||||
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フェアリーメードン* Fairy Maiden |
ﾉｰﾑ Gnome |
Whisk Broom | ||
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Faiery Sprit | ||||
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ﾀｽｶﾝﾒｲﾄﾞﾝ Tuscan Maiden |
Maiden Erlegh | |||
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Tuscan Red | ||||
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(競)モンテベルロ ベルモント 鹿 1935 JPN |
アスフォード* Athford |
ｹﾞｰﾝｽﾞﾊﾞﾗ Gainsborough |
Bayardo | |
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Rosedrop | ||||
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ｱｻｼ Athasi |
Farasi | |||
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Athgreany | ||||
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(競)シェロキー チェロキー |
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding |
Diamond Jubilee | ||
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Wedlock | ||||
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スクールベル* School Bell |
Bassetlaw | |||
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Amelia Fonso |
【昭和29年日本ダービー】
朝日盃を勝った時点ですでに8勝をあげていたタカオーは、その後も勝ち続け、結局3歳時からスプリングＳまで11連勝で皐月賞に臨んだ。本命に推されたタカオーだったが不良馬場にのめって4着に沈んだ。勝ったのは同じ飯原農場産で同じ父をもつダイナナホウシュウだった。ダイナナホウシュウはこれが無傷の11勝目だった。ＮＨＫ盃でダイナナホウシュウに雪辱したタカオーはダービーで本命ダイナナホウシュウに次ぐ２番人気となった。レースではダイナナホウシュウがスタート直後の絶望的な不利ですでに圏外となりタカオー優勝かと思われたが、大穴ゴールデンウェーブが飛び込み、タカオーは2着に敗れた。ゴールデンウェーブは初の公営出身のダービー馬となり、また、父ミナミホマレとの親子ダービー馬となった。タカオーはその後も連戦を重ね、菊花賞まで13戦をこなし、菊花賞で再びダイナナホウシュウに敗れた。4歳時の出走は26回を数え、年間賞金王となった。5歳になってもタフにレースを重ね、一方大事に使われたダイナナホウシュウは屈腱炎で戦列を離れた。ライバルのいない春の天皇賞をレコード勝ちし、歴代獲得賞金チャンピオンとなったタカオーは、もはや中央競馬で出走するには70キロを越す重量を負担することになり、挑むべきレースが無いとなると南関東に転厩、しかし中央時代ほどの成績をあげることなくC1までランクを下げて7歳の夏に引退した。
種牡馬入りしたタカオーを待っていたのは、日本史上初の種牡馬としての海外への輸出という道だった（戦前・占領下の朝鮮・満州への輸出は除く）。この昭和32年（1956）は、市川崑による名画『ビルマの竪琴』が公開された年であった。タカオーは、日本とイギリスの支配から独立を果たした直後のビルマに親善の一環として輸出され、当地でサラブレッド競馬の種牡馬となるはずであったが、その後現代まで長く続くことになる内乱のなか消息を失った。
三代母シェロキーは前述のラレードの全妹である。タカオーはダイヤモンドウェッディング*の4×5のクロスを持っていた。
《ダイヤモンドウェッディング* 父系図》
ダイヤモンドウェッディング* Diamond Wedding 1905 1909輸入 1910-29供用
｜第一ダイヤモンド (競)ベストマン 1911 ②帝室御賞典 種牡馬
｜ダイヤモンド (旧)第二ダイヤモンドウェッディング (競)ダイヤモンドジュビリー 1912
｜ダイヤ （血統名）ガルソレ 1912 4勝
｜種義 1912 f
｜第一レピダ 1912 f
｜第一オーデアル 1912 f
｜第二バーセロナセコンド 1912 f
｜金剛 サラ系 1913 種牡馬（宮崎種馬所） 大正5年9月～大正10年9月供用。大正10年9月6日売却。母は濠サラの敷島。
｜第二オーデアル 1913 f
｜第二エラ 1913 f
｜常夏 サラ系 1914 f
｜第二ダイヤモンド 1914 種牡馬（宮崎種馬所） 大正6（1917）年9月～昭和10（1935）年8月供用。昭和10年8月28日売却。
｜第五ダイヤモンド 1914 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正7（1918）年10月～昭和6（1931）年8月供用。昭和6年8月10日売却。
｜第六ダイヤモンド 1914 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正7（1918）年10月～大正11（1922）年9月供用。大正11年9月20日貸付。大正14年11月2日売却。
｜金月 アア 1914 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正6年9月～昭和9年8月。昭和9年8月16日売却。母はアングロアラブの第一花月。
｜ナイカク （血統名）玉手箱1914 f
｜レッドウヰング 1915 f 帝室御賞典 18勝
｜アサヒ (旧)フジ 1915 f 帝室御賞典
｜グラビッドダイヤ 1915 種牡馬
｜｜ウインド (競)グラビッドカップ 1930
｜｜ダイヤキング 1931
｜第七ダイヤモンド 1915 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正8（1919）年7月～昭和8（1933）年8月供用。昭和8年8月26日売却。
｜グードラツク（旧名カントウ） （血統名）第四ダイヤモンド 1915 6勝
｜第四エスサーディー 1915 f
｜シーザー アア 1916 種牡馬
｜クラウン サラ系 1916 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正8年10月～大正14年9月供用。大正14年9月貸付。昭和8年10月売却。母はアングロアラブのツレージュア。
｜第三ダイヤモンド 1916 種牡馬（宮崎種馬所） 大正7（1918）年10月～大正13（1924）年8月供用。大正13年8月16日売却。
｜カロル サラ系 1916 f
｜カロンド アア 1916 f
｜種為 サラ系 1916 f
｜ハツタマ サラ系 1917 帝室御賞典
｜ダークメイド 1917 f 帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走
｜ダウントン サラ系 1917 種牡馬
｜ウヅキ アア 1917
｜ダービー 1917
｜第四ベスチー サラ系 1917 f
｜デスデモナ 1917 f
｜ダニユーブ 1917
｜ウェッディングサーフ 1918 f
｜エナージ 1918
｜銀星 1918
｜第八ダイヤモンド (競)ダイヤモンドウエヂング 1918 ③連合二哩
｜金砂 アア 1918 種牡馬（長野種馬所） 大正10年10月～大正13年8月供用。大正13年8月17日売却。母はアングロアラブのジンジャンブル。
｜クリフトン アア 1918 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正8年10月～大正11年12月供用。大正11年12月売却。母はアングロアラブのビーコン。
｜クロンウェール アア 1918 種牡馬（鹿児島種馬所） 大正8年7月～大正12年12月供用。貸付。昭和11年10月16日売却。
｜シーザー アア 1918 種牡馬（宮崎種馬所） 大正8年10月～昭和12年9月供用。昭和12年9月10日売却。
｜ゴールドウヰング 1919 帝室御賞典 種牡馬 1931?-37供用
｜｜キントキマサル 1929
｜｜テンユウ 1929
｜｜ゴールドチャース 1929 f
｜｜キンセイ 1929 6勝
｜｜フクフジ アア 1930 アラブ系馬障碍大競走
｜｜スピートフェリー 1930 f
｜｜第三フロリサンダー 1932 f
｜チハヤ 1919 f 帝室御賞典
｜総捷 サラ系 1919 種牡馬
｜｜カイテン（血統名）小瀧 1926 f 1勝
｜フォースト (競)コマリウ 1919 ②帝室御賞典 種牡馬 4勝・障6勝
｜フワシネーション サラ系 1919 f
｜種家 1919 f
｜クワーダレン 1919 f
｜コゾウ （血統名）普門 1919 f 1勝・速1勝
｜ヘイアン （血統名）金華 1919
｜フリーレンス 1919
｜総光 （旧名フワラデー） アア 1919 種牡馬 （鹿児島種馬所）大正11年10月～昭和9年9月供用。昭和9年9月貸付（肝付郡組合）。昭和11年10月20日売却。
｜ラレド (競)ラレード 1920 帝室御賞典、各内国産抽籤濠州産馬混合競走 13勝 1928-33供用
｜｜ダイヤキング アア 1929 アラブ系馬障碍大競走
｜｜サラナック 1930 阪神記念 10勝・障1勝
｜｜ベル （血統名）清風 1930 f
｜｜セネカ 1930 f
｜｜ギフニシキ （血統名）光雷 1931 f
｜｜パーラム （血統名）宮松 1932 3勝・障7勝
｜山楽 サラ系 1920 種牡馬
｜グランドヂューク (競)フジギク 1920
｜第弐リッツルフェーム (競)ヱミヤ 1920 f
｜バンザイ サラ系 1921 帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走 種牡馬 11勝
｜マツカゼ サラ系 1921 帝室御賞典、各内国産馬連合競走
｜｜松典 アア 1930 種牡馬
｜ハンナー 1921 f
｜ミスダイヤモンド 1921 f
｜雲峯 1922
｜雲桜 (競)クモザクラ 1922 種牡馬
｜ダイヤキンドラ 1922
｜雲郷 1922
｜雲扇 サラ系 1922 f
｜チーコ 1922 f
｜コウエイ サラ系 1923 帝室御賞典 種牡馬 10勝・障1勝
｜第三チャンピオン サラ系 1923 種牡馬
｜慶久 1923
｜タニカゼ （血統名）慶典 1923 1勝
｜ペツト （血統名）慶端 1923 12勝・障8勝
｜ダイヤカップ サラ系 1923 f
｜慶臣 1923 f
｜慶歌 1923 f
｜慶利 サラ系 1924 種牡馬
｜オーミフジ （血統名）ダイヤモンドウエツケン 1924 f 1勝
｜オーランド 1924 未勝利 種牡馬
｜ダイヤアプリ アア 1925 新潟特別競走
｜チェロキー (競)シェロキー 1925 f
｜パルマ 1925
｜ヤングナカヤマ 1926 f 帝室御賞典
｜アッピーアランス サラ系 1926 f ③帝室御賞典
｜八洲 (競)プロポン 1926 f
｜スワロー (競)ライヘ 1927
｜ポモナ 1927 f
｜ダテニシキ 1928
｜アニメーション 1928
｜ダコマ 1928 f
｜イチフジ （血統名）マイアミー 1929 f 1勝・障8勝
｜トレントン 1929
《８代簡易血統表》
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Diamond Wedding |
Wenlock |
Marsyas |
Pyrrhus |
Sultan |
Camel |
Muley |
Precipitate |
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Wedlock |
Cybele |
Maid of Palmyra |
Palmyra |
Hester |
Monimia |
Precipitate Mare |
Woodpecker Mare |
12-c |
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