インタグリオー* Intaglio 牡 1899 栗毛 GB |
《血統表》
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon 鹿 1881 GB |
ガロピン Galopin |
Vedette |
Flying Dutchess |
|||
セイントアンジェラ St.Angela |
King Tom |
||
Adeline |
|||
プレザンテリー Plaisanterie 鹿 1882 GB |
ウェリントニア Wellingtonia |
Chattanooga |
|
Araucaria |
|||
ポエテス Poetess |
Trocadero |
||
La Dorette |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio 黒鹿 1875 GB |
クレモーン Cremorne or Tibthorpe |
Parmesan |
Rigolboche |
|||
ヴェローナ Verona |
Orlando |
||
Iodine |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days 鹿 1882 GB |
バルフェ Balfe |
Plaudit |
|
Bohemia |
|||
メテオ Meteor |
Thunderbolt |
||
Duty |
F.No[2-d]
《競走成績》
《代表産駒》
競走名 |
血統名(繁殖名/種牡馬名) |
性 |
主な勝鞍 |
レッドサイモン |
第七インタグリオー |
牡 |
帝室御賞典2回、優勝内国産馬連合競走 |
ペットレル |
第七アストニシメント |
牝 |
帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走 |
シンコイワヰ |
第九インタグリオー 新小岩井 |
牡 |
帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走 |
インタグリオ |
第五インタグリオー |
牡 |
優勝内国産馬連合競走 |
トクホ |
第二十六インタグリオー |
牡 |
優勝内国産馬連合競走 |
ハナビシ |
第十一インタグリオー 花菱 |
牡 |
帝室御賞典 |
プレッチーポリー |
第二カーネーション |
牝 |
帝室御賞典 |
クヰンマリー |
第八アストニシメント |
牝 |
帝室御賞典 |
クロンファート |
第四クロンファート |
牝 |
帝室御賞典 |
コイワヰ |
第八フラストレート |
牝 |
帝室御賞典 |
シノグ |
第五十三インタグリオー |
牡 |
帝室御賞典 |
クワンサイ |
第九アストニシメント |
牝 |
帝室御賞典 |
マナオ |
第十五インタグリオー |
牡 |
B帝室御賞典 |
エチゴ |
第十八インタグリオー |
牡 |
A帝室御賞典、B帝室御賞典 |
- |
第三アストニシメント |
牝 |
カノウ、クラックアスト、チャレンジャーの母、クヰンアスパー、キシュウローレル、ゴーイングスズカの祖- |
カトリ |
第二プロポンチス |
牝 |
イワヰ、クヰンフロラーの母、イワヰカブト、ウァルドマイン、バンナーゴール、ニットエイト、レガシーワールド、ミスターシクレノン、ゴールドスペンサー、イイデライナーの祖、 |
- |
種秀 |
牝 |
ワカクサ、アスコットの母、アイネスフウジン、ハクタイセイの祖 |
カメオ |
清駒 |
牡 |
種牡馬 |
|
-以下準備中 |
- |
- |
《繁殖成績》
明治40年(1907)輸入
明治41年(1908)供用開始
大正11年(1922)供用停止
《解説》
一説によれば、“ラブレター”なる語をはじめて用いたのは、かのウィリアム・シェイクスピアだっというが、この語が登場するのが、彼が本格的に悲劇を書き始める前の作品である『ヴェローナのニ紳士』である。『ヴェローナのニ紳士』は恋愛と友情の板ばさみになる二組のカップルを描いたドタバタ喜劇で、『ロミオとジュリエット』の舞台でもあるヴェローナ出身の二人の親友同士の男の心を奪い友情を引き裂く原因となるヒロイン、シルヴィアは、ミラノ大公の馬鹿息子シューリオ Thurio卿に見初められてしまうのだった。ヴェローナ Veronaの産駒で、もう一人のヒロインであるジュリアに仕える侍女の名を付けられたルーセッタ Lucettaは、アスコット金盃など22勝したGoldをはじめ、Speedなどを出した。件の“ラブレター”は劇中、ミラノ大公の家来であるスピードの台詞として登場する。
ところで、ルーセッタの半兄シューリオ Thurioはパリ大賞典の勝馬で、ハイフライアーに遡るヘロド系の嫡流の末裔だが、その名の由来に相応しく、優れた種牡馬とはとてもいえない成績を残してハイフライアー系の滅亡に一役かったのだった。しかし、本馬の三代母メテオ Meteorとシューリオ Thurioの間に生まれた牝馬スター Starの孫に無敗の名馬ハリーオン Hurry Onが出て、マッチエム系の再興を果たした。
【バイアリータークよりハイフライアー Highflyerを経てシューリオ Thurioに至る】
BYERLEY TURK
|Jigg
||Partner
|||Tartar
||||HEROD
|||||Highflyer
||||||Sir Peter Teazle(英ダービー)
|||||||Walton
||||||||Partisan
|||||||||Gladiator
||||||||||Sweetmeat
|||||||||||Macaroni(英2000ギニー、英ダービー)
|||||||||||Parmesan
||||||||||||Cremorne (英ダービー、パリ大賞典)
|||||||||||||Thurio (パリ大賞典)
インタグリオー* Intaglioはそのハリーオンが登場する15年ほど前に生まれ、母カメオ Cameoの名にちなんで、最上級の美しい工芸品である“インタリオ”と名づけられた。インタリオ(裏彫、陰刻)とは、宝石の裏側から彫刻を施すことで、表側から見ると宝石の中に映像が浮かび上がって見えるという細密な美術工芸である。日本に連れてこられて「インタグリオー*」という泥臭い響きの呼び名を与えられてしまった本馬だったが、種牡馬成績は泥臭いどころか、たくさんの名競走馬を輩出して日本の競走レベル向上に貢献し、更に多くの名繁殖牝馬を送り出して日本固有の名牝系をいくつも生み出し、そして我が国の馬産をリードする名門牧場を育てて、日本の馬産の歴史に決定的な影響をもたらした。
鉄道の父として知られる鉄道庁長官の井上勝、三菱初代社長岩崎弥太郎の側近で日本鉄道会社副社長の小野義真、そして三菱二代目社長の岩崎彌之助の3人は明治24年に岩手の原野を30万円をかけて開墾し、大規模な西洋式近代農場を創設した。上野・青森間の鉄道敷設に伴う損失を埋めるための事業であったが、この広大な牧場運営はすぐに頓挫してしまった。明治32年に岩崎家が農場の再建に乗り出し、創業者の三人の名から一文字ずつとって小岩井農場と命名した。はじめ牛・羊や、ハクニー種などの軽種馬の生産を行っていたが、明治39年に若い頃から乗馬に興じた二代目の岩崎久弥が農場場主になると彼は馬産に力を注ぎ、明治40年、英国からサラブレッド種牡牝馬21頭を輸入した。この駿馬の購買を依頼された下総御料牧場長の新山荘輔は、自ら英国の牧場を巡り、ビューチフルドリーマー*、アストニシメント*、プロポンチス*、フラストレート*、フロリースカップ*、ヘレンサーフ*など、これぞという優良牝馬20頭と種牡馬1頭を選定した。このただ1頭の種牡馬が、インタグリオー* Intaglioである。この時代、サラブレッド原産国の英国においてさえも、30頭規模の牧場は極めて稀であり、なおかつ厳選した優良馬ばかり21頭を集めた牧場というのはほとんど無いといえる。この点で、当時の小岩井農場は世界有数のサラブレッド生産地であったといえよう。
当時はまだ他の軽種に比べてサラブレッドは飼育が難しいと考えられていたが、前年の明治39年に内閣に馬政局が設けられ、軍馬改良の一環として国家事業としてサラブレッドの導入が図られた。これに際して馬政局が明治40年に輸入したサラブレッドは牡15頭、牝7頭の計22頭で、12万7,711円の購入価格であった。下総御料牧場の輸入は僅かに4頭であった。この数字からも、小岩井農場の輸入の規模がいかにエポックメイキングであったか想像することができよう。ちなみに、小岩井農場が21頭にかけた費用の13万2,000円は馬政局の購買額を上回り、再建を果たしたばかりの小岩井農場全体の一年分の収入の倍ほどもかけた一大ベンチャーであった。インタグリオー*自身の購買価格は10,000円だった。勿論、このようなベンチャーを可能にしたのは、政府と馬政局による後押しがあってのことであった。
しかしながら競馬に関連した不正行為が相次いで明治41年になると馬券の発売が禁止され、政府当局の方針もサラブレッドからアングロ・ノルマン種に一変し、社運をかけてサラブレッドを輸入した小岩井農場の行く末は早くも危機に瀕した。明治42年、輸入前に英国で高価な種付料を払って受胎させてきた持込馬がはじめてセリに上場されたが、既にサラブレッドの価格は暴落しており、売れたのは19頭中6頭のみで、売上も僅かに5,180円にとどまった。この中から、明治44年秋の連合二哩を14馬身差で圧勝するラングトンが出て、更に45勝の大競走馬コイワヰが登場して小岩井農場の最初の黄金期がはじまるのである。
インタグリオー*はこの小岩井農場の最初の絶頂期を支えた偉大な種牡馬だったが、晩年は成績が落ちた。このため農場は後継種牡馬としてルーヂゲーア*を導入したが、インタグリオー*ほどの並外れた成功を収めることはできなかった。しかし、インタグリオー*の血を受けた牝馬たちは優れた競走馬を輩出し、現在にまで連綿と連なる一大ファミリーを形成している。
余談だが、我が国にはもう1頭、インタグリオー*という名の重要な同名異馬がいるが、こちらは1960年代の輸入牝馬で、あのイギリスオークス馬メルド Meldの仔という良血である。子孫にホワイトアローが出た。
第ニカーネーション (競)プレッチーポリー 牝 1908 鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 平出喜三郎氏所有 |
【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
カーネーション* AUS |
-不明- |
|
|
|
|||
|
|
||
|
|||
-不明- |
|
|
|
|
|||
|
|
||
|
F.No.[--]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正2 |
11/16 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
7 |
1 |
1.48.65 |
145 |
続 |
トワダ |
|
11/22 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
6 |
1 |
2.23.80 |
150 |
続 |
ハアリー |
|
11/23 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
5 |
1 |
2.52.90 |
135 |
続 |
アヅマ |
【獲得賞金】
《繁殖成績》
不明
《解説》
濠洲産サラブレッドのカーネーションの仔として札幌や根岸で走り、大正2年に東京競馬会に登録されてプレツチーポリーと改名すると、瞬く間に帝室御賞典と優勝戦を勝ってしまった。
加賀の橋立三人衆と称された北前船主のひとりである平出喜三郎氏は、函館戦争に際して五稜郭の旧幕軍を討つ官軍を助け、砲弾をかいくぐって江差や福山(現在の松前)に軍事物資を届けて功をあげ、財を成した。彼は早い時期から西洋式の蒸気船を購入し、千島国択捉の漁場を購入した。一方彼は津軽で飢饉がおこると大阪から米百俵を運んで与えたり、千島で難破した船を救出して義捐金を与えるなどの篤志家でもあった。奥尻や千島列島などの北洋漁業事業で大成功した平出氏は、政友会に属して北海道議会議員や帝国議会の衆議院議員を歴任した。当時北海道からは国会議員が3人しかいないうちの1人である。初代の平出喜三郎は明治40年に死去し、橋立三人衆の一人、久保彦助の四男が養子となって後を継いだ。当馬の馬主である平出喜三郎はこの二代目当主で、二代目喜三郎は函館新聞社を興し、函館銀行監査役や函館図書館の館長を歴任し、憲政会から衆議院議員となった、函館の名士である。また、青森で宝永銅山、奥尻で硫黄鉱山を経営し、北京に競馬倶楽部を設立した事業家である。
レッドサイモン 牡 1909 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 コロネル・セメノフ氏/イーレー・デビス氏(ノーフォーク氏)所有 |
【戦績】25戦14勝(14-7-1-3) 【主な勝鞍】帝室御賞典2回、優勝内国産馬連合競走
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
フラストレート* Frustrate 栗 1900 GB 1907年輸入 |
セイントフラスキン St.Frusquin 黒鹿 1875 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
イザベル Isabel |
Plebeian |
||
Parma |
|||
ハッティ Hattie 1893 GB |
ケンダル Kendal |
Bend Or |
|
Windermere |
|||
スカーテ Skarte |
Silverster |
||
Albatross |
F.No.[1-b]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
明治45 |
4/13 |
東京 |
新呼馬 |
1M |
11 |
1 |
*1.49.79 |
125 |
コッフェー |
センボンマツ |
|
4/21 |
東京 |
新呼馬優勝戦 |
1 1/8M |
3 |
1 |
*2.02.78 |
125 |
コッフェー |
トワダ |
|
11/17 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
7 |
1 |
1.48.67 |
131 |
コッフェー |
第六ハアリー |
|
11/23 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
8 |
1 |
4.03.37 |
125 |
コッフェー |
ハギゾノ |
大正2 |
4/19 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
8 |
2 |
1 1/2 |
142 |
コッフェー |
コイワヰ |
|
4/20 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
7 |
2 |
3 |
140 |
コッフェー |
コイワヰ |
|
4/26 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
7 |
2 |
4 |
140 |
コッフェー |
コイワヰ |
|
5/10 |
横浜 |
帝室御賞典 |
1M |
8 |
2 |
頸 |
128 |
コッフェー |
コイワヰ |
|
11/1 |
横浜 |
帝室御賞典 |
1M |
5 |
1 |
*1.44.1/5 |
128 |
コッフェー |
|
|
11/15 |
東京 |
内国産呼馬 |
1M |
11 |
1 |
1.49.53 |
150 |
コッフェー |
タカヤマ |
|
11/16 |
東京 |
各内国抽籤濠州混合特別ハンデ |
1 1/4M |
6 |
1 |
2.15.21 |
137 |
コッフェー |
シンコイワヰ |
|
11/23 |
東京 |
内国産優勝戦 |
1 1/2M |
5 |
3 |
1 1/2-1/2 |
140 |
コッフェー |
プレツチーポリー |
【獲得賞金】11,316円
《繁殖成績》
大正4(1915)年より供用(鹿児島県囎唹郡)
昭和7(1932)年2月斃死
《解説》
史上はじめて外国馬を破った日本産馬はコイワヰだったが、コイワヰは持込馬だったので、厳密な意味での内国産馬としてはレッドサイモンが初の内外混合戦優勝馬である。レッドサイモンは大正2年秋の根岸の帝室御賞典で濠州産馬を破って優勝した。勝タイムは濠州産馬ドロシーの持つ1哩1.45.70のレコードを塗り替えた。帝室御賞典を2回拝領したのはコイワヰに次いで史上2頭目だった。(次に御賞典を複数回拝領するのはタマモクロスを待たねばならない。)
当時、国内の競馬場は内国産馬と濠州産馬を完全に分けてレースを行っていた。それほどまでに、内外の格差は開いていた。1哩で数秒から十数秒のタイム差があった。横浜(根岸)は歴史が古くもともと外国人の手によって競馬が行われていたので、外国産馬(主に濠州産と支那産)のレースが人気があったが、他地域では国内馬匹改良のため内国産馬に重点が置かれていた。横浜では内濠混合で帝室御賞典を行っていたが、勝つのは常に濠州産馬だった。日本馬は永久に外国馬には勝てないと嘯かれた。しかし、小岩井農場が大金をはたいて導入した本馬の英国の種牡牝馬から生産された駿馬は瞬く間に競馬界を席巻し、濠州産馬を凌駕した。コイワヰとレッドサイモンはその先駆けである。
その名のとおりレッドサイモンはSt.Simonのクロスを持っている。当時小岩井農場が導入した牝馬はほとんどSt.Simonの血を持っていたが、同時に輸入した種牡馬もまたSt.Simon系のインタグリオー*であり、明らかに配合の意図としてSt.Simonの近交を狙っており、実際にその配合で小岩井農場は大成功を収めている。
レッドサイモンはコイワヰとともに大活躍をしたが、コイワヰとの対戦では歯が立たなかった。ハンデ戦でコイワヰに20斤のハンデをもらっても、コイワヰのレコード勝ちに4馬身ちぎられた。前述の内国産馬によるはじめての濠州産馬に対する勝利、2度の御賞典拝領といずれもコイワヰに遅れをとった。種牡馬となってコイワヰは大活躍をして子孫の父系が発展したが、レッドサイモンは特筆する仔を残さなかった。
セミノフ氏とは、明治中期から函館で漁業を経営していたロシアのセミョーノフ商会(セメノフ商会)の仮定名称である。セミョーフ商会は、はじめ樺太で昆布漁をしていたが、明治中期に函館に進出して多くの日本人漁夫を雇って巨利をあげた。最盛期には1000人の日本人を雇用していたが、日露戦争で樺太の利権を失った後はデンビー商会という法人に改め、カムチャツカで鮭や鱒を獲って缶詰を生産したが、ロシア革命の際に日本に亡命して、三菱と合弁で北洋漁業株式会社を設立した。セミョーノフ商会と後身のデンビー商会は函館経済に多大な貢献をし、産業功労者として表彰された。
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
タフク アア |
- |
牡 |
1931 |
|
ドーギア アア |
|
アラブ系馬障碍大競走(小倉) |
|
タカサゴ 雑 |
レートサエモン |
牡 |
1919 |
栗 |
鳴重 雑 |
鹿児島県野方 桑畑秀則生産 |
|
上村十右衛門氏所有 |
第五インタグリオー (競)インタグリオ 牡 1909 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 絹川安松氏所有 |
【戦績】45戦10勝(10-7-2-26) 【主な勝鞍】優勝内国産馬連合競走
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
ビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamer 栗 1903 GB 1907年輸入 |
エンシュージアスト Enthusiast 栗 1886 GB |
スターリング Sterling |
Oxford |
Whisper |
|||
チェリーダッチェス Cherry Duchess |
The Duke |
||
Mirella |
|||
レポソー Reposo 栗 1894 GB |
アンフィオン Amphion |
Rosebery |
|
Suicide |
|||
モノトミー Monotomy |
See Saw |
||
Orchestra |
F.No.[12]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正3 |
7/3 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/8M |
13 |
2 |
2 1/2 |
118 |
千歳 |
トワダ |
|
11/14 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
8 |
1 |
*3.40.41 |
130 |
千歳 |
チップトップ |
大正4 |
11/20 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
13 |
3 |
4-1馬身 |
152 |
千歳 |
トクホ |
大正5 |
11/11 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
3 |
1 |
2.26.70 |
143 |
千歳 |
トクホ |
|
11/12 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
3 |
2 |
3馬身 |
150 |
千歳 |
モチヅキ |
【獲得賞金】7,130円
《繁殖成績》
大正7(1918)年より供用(宮城県加美種畜場)
昭和2(1927)年5月廃用
《解説》
ビューチフルドリーマー*といえば本邦の名牝系の中でも筆頭格の名門で、このファミリーに属する名馬を挙げることは我が国の競馬の歴史を述べるに等しい。このファミリーの二大勢力は種義と第三ビューチフルドリーマーで、彼女らの子孫が今の大勢力を築き上げたのだが、ビューチフルドリーマー*の子孫が本格的に活躍を始めてファミリーを確立するにはこの種義や第三ビューチフルドリーマーの産駒が活躍し始める1920年代を待たねばならない。
一方、ビューチフルドリーマー*自身の直仔の代で、ビューチフルドリーマー*の名を世に知らしめたのは3番仔のエチゴ(繁殖名第十八インタグリオー)と、初年度産駒のインタグリオ(繁殖名第五インタグリオー)である(二番仔は生後すぐに死亡)。小岩井農場の基礎輸入牝馬の中で、ビューチフルドリーマー*は孕仔をもたず、産駒の登場はほかよりも1年遅れてしまった。ラヴァレリー*の孕仔ラングトンやエナモールド*の孕仔コイワヰといった明治41年(1908)生まれの持込産駒の競走馬が活躍の後、次に続いたのがインタグリオー*産駒で、レッドサイモンが明治45年に御賞典と連合二哩を制すると、翌年(大正2年)にシンコイワイ(母ライン*)が御賞典と連合二哩を勝った。
さらに大正3年秋にハナビシ(母エナモールド*)が御賞典をレコード勝ちし、2着にもエチゴ、3着マナオ(母ボニーナンシー*)が入って上位をインタグリオー*産駒が独占すると、翌週にはエチゴの全兄である6歳の本馬インターグリオが連合二哩をレコードで勝った。この連合二哩と同日に行われた二鞍のハンデ戦ではそれぞれハナビシとエチゴがやはりレコード勝ちをして、翌日の優勝戦はマナオが勝った。とにかくもう、ターフはインタグリオー*一色となった。
インタグリオはその後も高齢まで走って通算10勝を収めたが、その後は大レースには勝たなかった。種牡馬となっても名を上げられる産駒を残していない。
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
タカカゼ |
鳴儀 |
牡 |
1926 |
栗 |
鳴本 雑 |
宮城県鳴子 松本忠之助生産 |
|
渡邊豊蔵氏所有 |
オープン |
第一鳴重 |
牝 |
1928 |
栗 |
鳴重 雑 |
宮城県鳴子 遊佐ヨシノ生産 |
|
平間久兵衛氏所有 |
新小岩井 (競)シンコイワヰ 牡 1909 鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 絹川安松氏所有 |
【戦績】26戦7勝(7-5-0-14) 【主な勝鞍】帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
ライン* Rhine 鹿 1900 GB 1907年輸入 |
サスペンダー Suspender 鹿 1889 GB |
マンキャスター Muncaster |
Doncaster |
Windermere |
|||
ガータレス Garterless |
Knight of the Garter |
||
Saratoga |
|||
レヴェルリ Revelry 栗 1885 GB |
ピーター Peter |
Hermit |
|
Lady Masham |
|||
リヴェイロン Reveillon |
Cambuscan |
||
Media Noce |
F.No.[5-e]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正2 |
4/19 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
5 |
1 |
2.07.05 |
128 |
佐々木 |
ヤングウイリアム |
|
4/20 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
11 |
1 |
1.50.27 |
130 |
佐々木 |
トワダ |
|
4/27 |
東京 |
内国産新呼馬優勝戦 |
1 1/4M |
4 |
1 |
2.16.44 |
128 |
佐々木 |
ワシントン |
|
11/15 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
7 |
2 |
1/2馬身 |
129 |
千歳 |
コイワヰ |
|
11/16 |
東京 |
混合特ハン |
1 1/4M |
6 |
2 |
2馬身 |
132 |
千歳 |
レッドサイモン |
|
11/22 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
7 |
1 |
4.03.10 |
128 |
千歳 |
ローヤル |
大正5 |
11/12 |
東京 |
内国産呼馬未勝利 |
1 1/8M |
7 |
2 |
2馬身 |
144 |
千歳 |
トクホ |
【獲得賞金】6,221円
《繁殖成績》
宮城県南那珂郡にて供用
《解説》
今で言う6歳(以前で言う5歳)で新馬戦に登場したシンコイワヰは易々と勝ち、翌日には御賞典競走を勝った。翌週当たり前のように優勝戦を勝ち、連合競走の出場権を得たが、秋には先輩格のコイワヰとレッドサイモンに手も足も出なかった。コイワヰに敗れた呼馬戦では、負担重量が31ポンドもの差があったにもかかわらず、半馬身及ばなかった。続く内外混合の特殊ハンデキャップ戦でレッドサイモンと当たって、今度は斤量差が5ポンドまで縮まっていたが着差は2馬身に広がって敗れた。それでも翌週にはコイワヰとレッドサイモンがいない連合二哩を勝った。
小岩井農場の初期活躍馬としては珍しく比較的アウトブリード色の濃い配合で、インタグリオー*、ライン*それぞれ自身の持つクロスを除くと、5代以内の近親交配はない。小岩井農場に繋養されていた種牡馬が当初はSt.Simon直系のインタグリオー*唯1頭であることを考えれば、これは明らかに母ライン*の血統構成によるところである。イギリスオークス馬の子孫とはいえライン*のファミリーは、他の小岩井農場の著名な基礎輸入牝馬に比べるといさかか見劣りし、古い時代には本馬シンコイワヰやマイヅル(連合二哩)、タカホマレ(帝室御賞典)を出したものの、ビューチフルドリーマー*やフラストレート*などの名門系といえるまでの勢力を築くことはできなかった。しかし、戦後間もない時期の二冠牝馬スウヰイスーから半世紀後に突如グルメフロンティアがGI勝ちを果たした。
第十一インタグリオー (競)ハナビシ 花菱 牡 1909 黒鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 森謙吾氏(タツタ氏)所有 |
【戦績】39戦17勝(17-1-3-18) 【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
エナモールド* Enamoured 鹿 1897 GB 1907年輸入 |
ゴンサルヴォ Gonsalvo 黒鹿 1875 GB |
フェルナンデス Fernandez |
Sterling |
Isola Bella |
|||
チェリー Cherie |
Stockwell |
||
Chere Amie |
|||
ヤングレイディ Young Lady 1872 GB |
ヤングメルボルン Young Melbourne |
Melbourne |
|
Clarissa |
|||
マイレイディ My Lady |
Lambton |
||
Little Lady |
F.No.[2-h]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正1 |
11/17 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
17 |
1 |
2.05.09 |
131 |
二本柳 |
ヒトリムスコ |
2 |
4/19 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
8 |
3 |
1 1/2-2 1/2 |
136 |
二本柳 |
コイワヰ |
|
4/27 |
東京 |
内国産呼馬未勝利 |
1 1/8M |
7 |
3 |
1-1/2 |
136 |
二本柳 |
ハアリー |
|
11/16 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
7 |
3 |
1 1/2-4 |
150 |
二本柳 |
プレッチーポリー |
|
11/23 |
東京 |
内国産呼馬未勝利 |
1 1/8M |
11 |
1 |
2.08.75 |
148 |
二本柳 |
ユキゾノ |
3 |
11/8 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
9 |
1 |
*1.47.06 |
154 |
二本柳 |
エチゴ |
|
11/14 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
3 |
1 |
*2.12.38 |
138 |
二本柳 |
マナオ |
【獲得賞金】7,220円
《繁殖成績》
不明
《解説》
明治35年に日本ダービーを勝ったツキカゼ号の名誉ある馬主森謙吾は、まさに我が国競馬の父である。安田記念にその名を残す日本中央競馬会初代理事長、安田伊左衛門の相談役であった森は横浜七十四銀行(現在の横浜銀行の前身)の頭取で、大蔵省銀行局に籍を置いたこともある銀行家であったが、横浜根岸の競馬に注力し、馬券が禁止になると「私一人でも競馬をやって見せる」と豪語した大人物である。森は既に、明治30年代に須磨と月ヶ瀬という馬で既に御賞典を二度受領していたが、サラブレッドによる御賞典はこの花菱が初めてであった。
ブルードメアサイヤーのゴンサルヴォGonsalvoはグッドウッドCを制した地味なステイヤーで、ストックウェルStockwellの強い近交馬である(2×3)。その父フェルナンデスFernandezもクレイヴンSを買った程度の中級競走馬で、種牡馬としてカナダの初代クイーンズプレート優勝馬フェルディナンドFerdinandや、ダービー2着のミゲルMiguel、ドンカスターC勝馬ウェイヴレッツプライドWavelet's Pride等を出したが、いまではむしろ、名競走馬にして名種牡馬のアイソノミーIsonomyの全弟として知られている。
三代母のマイレイディMy Ladyは2000ギニーの勝馬カンバロCamballoの半妹で、さらに遡るとヴォルティギャーやVoltigeurやロードクリフデンLord Clifdenも出てくる牝系ではあるが、エナモールド*Enamouredの頃には既にかなり代を経ており、むしろ大競走馬コイワヰの母として著名である。エナモールド*がイギリスで宿してきたチャッツワースChatsworthの仔コイワヰは現在も破られていない45勝の最多勝利記録を樹立し、帝室御賞典を2回拝領し、種牡馬としても大成功を収めた。ハナビシはコイワヰやレッドサイモンの抜けた後の帝室御賞典をレコード勝ちし、この偉大な兄の次の弟としてはまずまずの競走成績をおさめたといえよう。
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
タマガワ サラ雑 |
第二小藤 |
牡 |
1926 |
鹿 |
清水 雑 |
宮城県小野田 天野清次郎 |
|
渡邊豊蔵氏所有 |
メイガン サラ雑 |
鳴岩 |
牡 |
1928 |
栗 |
玉銀 トロ雑 |
宮城県鳴子 小松善助 |
|
渡邊豊蔵氏所有 |
ハナメリー |
玉光 |
牝 |
1929 |
鹿 |
第三メリーソート |
宮城県岩出山 新井八郎 |
1勝 |
本郷金治氏所有 |
ハコネ |
第三温泉ノ四 |
牡 |
1930 |
栗 |
第三温泉 |
宮城県川渡 高橋善七 |
|
佐野玉吉氏所有 |
フクトク |
第三温泉ノ三 |
牝 |
1929 |
黒鹿 |
第三温泉 |
宮城県鳴子 高橋善七 |
1勝 |
渡邊豊蔵氏所有 |
カチバンザイ |
第十外濱 |
牡 |
1930 |
鹿 |
第三外濱 |
宮城県川渡 遠藤惣太郎 |
|
佐野玉吉氏所有 |
タマメリー |
玉茂 |
牝 |
1931 |
鹿 |
第三メリソード |
宮城県岩出山 高橋三之助 |
|
本郷金治氏所有 |
第十五インタグリオー (競)マナオ 牡 1910 黒鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
【戦績】47戦13勝(13-14-2-18) 【主な勝鞍】B帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
ボニーナンシー* Bonny Nancy 黒鹿 1903 GB 1907年輸入 |
クイーンズバースデイ Queen’s Birthday 鹿 1887 GB |
ハギオスコープ Hagioscope |
Speculum |
Sophia |
|||
マティルダ Matilda |
Beauclerc |
||
Simony |
|||
ボニーケイト Bonny Kate 1889 GB |
ブレッドナイフ Bread Knife |
Craig Millar |
|
Slice |
|||
ボニーエルシー Bonny Elsie |
Rosicrucian |
||
Bonny May |
F.No.[10-b]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正3 |
6/27 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1M |
5 |
2 |
2 1/2馬身 |
128 |
佐々木 |
キクスイ |
|
6/28 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
4 |
2 |
1馬身 |
128 |
佐々木 |
ホーヘイ |
|
7/3 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
単 |
1 |
2.09.05 |
128 |
佐々木 |
(単走) |
|
7/5 |
東京 |
内国産新呼馬優勝戦 |
1 1/4M |
4 |
3 |
7-1馬身 |
128 |
佐々木 |
ハヤト |
|
11/7 |
東京 |
内国産呼馬 |
1M |
7 |
1 |
1.51.82 |
138 |
千歳 |
エチゴ |
|
11/8 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
9 |
3 |
1-1/2馬身 |
139 |
千歳 |
ハナビシ |
|
11/14 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
3 |
2 |
2馬身 |
120 |
千歳 |
ハナビシ |
|
11/15 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
5 |
1 |
2.55.32 |
117 |
千歳 |
エチゴ |
4 |
5/1 |
東京 |
内国産呼馬 |
1M |
10 |
2 |
4馬身 |
147 |
千歳 |
フロリスカップ |
|
5/2 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
4 |
2 |
3馬身 |
130 |
千歳 |
アヅマ |
|
5/8 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/8M |
8 |
1 |
2.01.00 |
150 |
千歳 |
イヅモ |
|
5/9 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
4 |
1 |
2.41.91 |
130 |
千歳 |
アヅマ |
|
11/20 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
6 |
1 |
2.00.70 |
140 |
千歳 |
エチゴ |
|
11/21 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
5 |
3 |
1-3馬身 |
147 |
千歳 |
エチゴ |
|
11/28 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
2 |
1/2馬身 |
140 |
千歳 |
エチゴ |
5 |
11/4 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
7 |
3 |
鼻-1馬身 |
160 |
伊藤 |
コイワヰ |
【獲得賞金】7,405円
《繁殖成績》
大正6(1917)年より供用(鹿児島県)
《解説》
ボニーナンシー*から母系を遡ること5代、クインメアリーQueen Maryはダービーとオークスを勝った名牝ブリンクボニーBlinkbonnyとセントジェームズパレスS勝ちのボニースコットランドBonnie Scotlandを出し、他にもブリンクフーリーBlinkhoolieが種牡馬として血と名を残した。ブリンクボニーBlink Bonnyの仔ブレアーアゾルBlair Atholは二冠を制してチャンピオンサイヤーとなり、その頃アメリカではボニードゥーンBonnie Doonの孫の代に、重賞を勝ちまくって名誉の殿堂入りを果たした名牝ベルデイムBeldameや第一回プリークネスS勝馬ドンエンリケDon Enriqueが登場し、数年後に同系から現在も強烈な影響力を残すブラックトニーBlack Toneyが出て、この牝系の地位を決定的なものにした。ボニーナンシー*はこのドンエンリケのプリークネスS勝ちの年に輸入されたが、この類稀な名牝系の血をひく牝馬としてはいささか繁殖成績は物足りない。直仔の代には大レースの勝馬は出ず、その後も古い時代にシノグ(本頁別項参照)や菊花賞馬ハイレコードを出した程度で、近年はオーシャチ産駒のアイアンハートとか、クロケット*産駒のヨシノエデンとか、セントシーザー産駒のセントミサイルとか、マイナー種牡馬の代表産駒を出している。
【Queen Maryのファミリー概観】
Queen Mary
|Bab at the Bowster(Annandale 牝1857)
||Helene Triomphante(Young Melbourne 牝1865)
|||Fenek(Buccaneer 牡1883):オーストリヤダービー
|Blink Bonny(Melbourne 牝1854):英オークス、英ダービー
||Blair Athol(Stockwell 牡1849):英ダービー、英セントレジャー:英チャンピオンサイヤー
|Blinkhoolie(Rataplan 牡1864):種牡馬
|Blooming Heather(Melbourne 牝1852)
||Gorse(King Tom 牝1859)
|||Goura(Buccaneer 牝1872)
||||Geheimnis(Chamant 牝1883)
|||||Gastfreund(Gouverneur 牡1896):ウニオンレンネン
|||||Geier(Flageolet 牡1890):独ダービー
||||Glocke(The Palmer 牝1880):独オークス
|||||Glocknerin(Weltmann 牝1887):独オークス、独セントレジャー
|||Miss Gorse(Constanz 牝1883)
||||Dorn(Chamant 牡1889):ウニオンレンネン、ハンザ大賞
||||Schottland(Chamant 牝1891)
|||||Real Scotch(Realist 牡1901)独セントレジャー
|Bonnie Doon(Rapid Rhone 牝1870)
||Bella Donna(Hermit 牝1885)
|||Beldame(Octagon 牝1901):米4歳牝馬チャンピオン:殿堂馬
|||Don Enrique(Hastings 騙1904)プリークネスS
||Bonnie Gal(Galopin 牝1889)
|||Belgravia(Ben Brush 牝1903)
||||Black Toney(Peter Pan 牡1911)米名種牡馬
|||Disguise(Domino 牡1900)ジョッキークラブS
|Bonnie Scotland(Iago 牡1853)セントジェームズパレスS
|Bonny Bell(Voltigeur 牝1860)
||Beauclerc(Rosicrucian 牡1875)ミドルパークP、サプリングS
||Bonny May(Newminster 牝1868)
|||Bonny Elsie(Rosicrucian 牝1885)
||||Bonny Kate(Bread Knife 牝1889)
|||||ボニーナンシー*(Queen’s Birthday 牝1903)
|Braxey(Moss Trooper 牝1849)
||Merino(Young Melbourne 牝1874)
|||Miss Mildred(Melton 牝1890)
||||La Roche(St.Simon 牝1897)英オークス
|Haricot(Lanercost 牝1847)
||Caller Ou(Stockwell 牝1858)英セントレジャー
とはいえマナオはちょっと不運なだけで、大レースを勝つだけの力があったのかもしれない。インタグリオー*のファーストクロップであるレッドサイモンやシンコイワヰ、ハナビシらが嵐のように大レースを勝ちまくって、これらの一流馬が大レースの出走権利を無くしていたので、その次のクラスのマナオとエチゴはライバルとして一進一退の攻防を見せてきた。大正4年の春の優勝戦ではエチゴが一位入線したが、マナオ側よりインターフェアの異議があり、エチゴが失格となってマナオが繰り上がり優勝したこともある。マナオはこの大正4年の春に調子を上げて戴冠のチャンスを迎えたが、この年の秋に限って帝室御賞典は何故か内国産抽籤新馬のために施行されたため、マナオは出走すらできなかった。このとき帝室御賞典を勝ったのは指宿産の抽籤馬でセイテンという馬だった。例年通りの条件で帝室御賞典が開催されていれば、恐らくはマナオかエチゴかのどちらかが勝っていたのではないだろうか。
全弟のミツイワヰ(第二十インタグリオー)、キリシマ(第二十七インタグリオー)もそこそこの活躍をしたが、大レースには縁がなかった。
第三アストニシメント 牝 1911 鹿 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
アストニシメント* Astonishment 黒鹿 1902 GB |
クイックリーワイズ Quickly Wise 1890 GB |
ウィズダム Wisdom |
St.Simon |
Mimi |
|||
クイックストリーム Quickstream |
Trumpeter |
||
Quick March |
|||
トゥワール Twirl 鹿 1894 GB |
ベンディゴー Bendigo |
Ben Battle |
|
Hasty Girl |
|||
ハバネラ Habanera |
Isonomy |
||
Polonaise |
F.No.[7-c]
《代表産駒》
産駒 |
|
主な勝鞍 |
カノウ |
牡 |
優勝内国産馬連合競走 |
クラックアスト |
牡 |
帝室御賞典 |
チャレンジャー |
牡 |
帝室御賞典 |
《解説》
後世の子孫の発展という観点では、賢藤とオーグメントを通じて巨大ファミリーを築いた第二アストニシメントがアストニシメント*の代表的な牝馬産駒といえるが、直仔の代の成績が優秀であったものといえば第三アストニシメントはきわめて優秀な母で、御賞典馬を2頭産み、連合二哩を1頭出した。子孫には牝馬の活躍馬が多かったが、第参フラストレートのマンナや第四フロリースカップのフロリストのような優れた後継牝馬を出せず、期待されたクヰンアスパーは売却されて終戦直前には獣疫検査所に寄贈されてしまった。ずっと後にアスパーミッサイルの血を継ぐキシュウローレルが登場したが、事故死して子供を残せなかった。しかし全妹のキシューファイターがダンシングファイタを出し、代々内国産種牡馬と配合されながら近年重賞勝馬を出している。
【第三アストニシメント ファミリー概観】
第三アストニシメント
|チンゼイ(ヴィセロイ* 牡1918鹿毛)3勝 種牡馬
|ロビンフッド(ラシカッター* 牡1920鹿毛)1勝 種牡馬
|カノウ(コイワヰ 牡1921鹿毛)優勝内国産馬連合競走、B帝室御賞典 種牡馬
|第九コイワヰ(競)イーチ(コイワヰ 牡1922鹿毛) 種牡馬
|アルパインアスター(競)タマユワヰ(コイワヰ 牝1923栗毛)
||ヤングキャップ(ゼヤンク* 牝1939鹿毛)
|||クインカップ(テツノチカラ* 牝1959鹿毛)
||||エーカップ(サンプルーフ* 牝1967鹿毛)
|||||ホウカンアロー(アローエクスプレス 牝1977鹿毛)
||||||フミノルーキー(インターグシケン 牡1981黒鹿毛)B七夕賞、カブトヤマ記念、福島記念
||||||タケノビクトリー(ウエスタンウインド* 牝1982鹿毛)エンプレス杯
||||セブンアロー(スパニッシュイクスプレス* 牝1968鹿毛)京都牝馬特別
|第十五コイワヰ(競)ホマレ(コイワヰ 牡1924鹿毛)
|アスパーミッサイル(競)ジューン(コイワヰ 牝1925鹿毛)
||第貳アスパーミッサイル(競)クヰンアスパー(トウルヌソル* 牝1932鹿毛)農林省賞典競走
|||クヰンアスパーノ一(競)グリンパーク(プライオリーパーク* 牝1939鹿毛)
|||クヰンアスパーノニ(競)モリツカ(プライオリーパーク* 牝1940鹿毛)
||||アスパーカブト(競)サンダーカブト(カブトヤマ 牡1945鹿毛)種牡馬
|||雲朝(競)クモアサ(プライオリーパーク* 牝1942黒鹿毛)
||||光雲(グランドライト 牡1950黒鹿毛)
||||アサフジ(タツクモ アラ系 牝1952鹿毛)
|||日出朝(競)カネヒロ(カブトヤマ 牡1944鹿毛)
||新雪(競)シンセツ 前名アスパーセフト(セフト* 牝1940鹿毛)
|||クモタヘ(旧)新旗(クモハタ 牝1946鹿毛)
||||嶋丘(競)ジュベニア(ライジングフレーム* 牝1959鹿毛)
|||||カネスカイ(リンボー* 牝1965黒鹿毛)
||||||キシュウローレル(ゴールデンパス 牝1970黒鹿毛)最優秀3歳牝馬 阪神3歳S、デイリー杯3歳S、A桜花賞
||||||キシューファイター(ゴールデンパス 牝1972黒鹿毛)A報知杯4歳牝馬特別(桜TR)
|||||||ダンシングファイタ(ダンシングキャップ* 牝1978黒鹿毛)中山牝馬S
||||||||ダンシングスズカ(ミスターシービー 牝1987鹿毛)
|||||||||ゴーイングスズカ(ダイナガリバー 牡1993鹿毛)目黒記念、福島記念
||||||||トキファイター(カツラギエース 牝1986青鹿毛)
|||||||||タイムフェアレディ(メジロマックイーン 牝1998黒鹿毛)フラワーC
|||タジマ(ゲイタイム* 牝1955鹿毛)府中牝馬S
||||サンタライト(ガルカドール* 牝1961鹿毛)
|||||サンタマヒメ(パーソロン* 牝1971鹿毛)
||||||ロイヤルスズラン(ダストコマンダー* 牝1977栗毛)京都牝馬特別
|第十八コイワヰ(コイワヰ 牡1926鹿毛)斃死
|クラックアスト(クラックマンナン* 牡1928黒鹿毛)帝室御賞典 種牡馬
|第参シアンモア(競)チャレンジャー(シアンモア* 牡1929鹿毛)帝室御賞典 種牡馬
|アスリート(シアンモア* 牡1930黒鹿毛)B日本ダービー
|第拾壹シアンモア(競)ハクセン 改名キングロング(シアンモア* 牡1931鹿毛)
第二プロポンチス (競)カトリ 牝 1910 青 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
プロポンチス* Propontis 鹿 1897 GB |
レイヴンズベリー Ravensbury 鹿 1890 GB |
アイソノミー Isonomy |
Sterling |
Isola Bella |
|||
ペニテント Penitent |
Hermit |
||
Stray Shot |
|||
マーモラ Marmora 鹿 1878 GB |
アドヴェンチュアラー Adventurer |
Newminster |
|
Palma |
|||
マイライナー Milliner |
Rataplan |
||
Manganese |
F.No.[4-d]
《代表産駒》
産駒 |
|
主な勝鞍 |
イワヰ |
牝 |
帝室御賞典 |
クヰンフロラー |
牝 |
帝室御賞典 |
ローリエイト |
牡 |
A帝室御賞典 |
《繁殖成績》
大正4年(1915)〜昭和6年(1931)岩手県雫石・小岩井農場で供用。
昭和7年(1932)北海道函館市で供用(橋本捨次郎所有)
昭和7年斃死
《解説》
プロポンチス*はインタグリオー*との間に8頭の産駒を設け、そのうち第二プロポンチス、第四プロポンチス、種秀がファミリーを発展させて現在の名門系を作り上げた。第二プロポンチスはイワヰ、クヰンフロラー、フィーニクスという3頭の優れた後継牝馬を残し、プロポンチス系の主流を形成している。この3頭はそれぞれコイワヰ、ガロン*、トウルヌソル*という異なる種牡馬を父としており、次の代以降の配合の幅を広げている。
【第二プロポンチスト ファミリー概観】
第二プロポンチス
|プロピシアス(ルーヂゲーア* 牝1916黒鹿毛)
||第一プロピシヤス(競)プロピシヤス(ガロン* 牡1921青毛)種牡馬
||世界公園(競)オオビシ(ラシカッター* 牡1924鹿毛)
||クリーバー(ガロン* 牡1928青毛)
||雛鶴(競)シャイニングスピード(シャイニングスピヤー* 牝1929鹿毛)
||上潮(競)キンバレン(ガロン* 牡1930栗毛)
||ハヤブサ(競)ビックストーム(シャイニングスピヤー* 牡1932黒鹿毛)
||松風(競)ヱリザベス(プライオリーパーク* 牝1934鹿毛)
||星甲(競)カブトスター(カブトヤマ 牝1937黒鹿毛)
|第十三ルーヂゲーア(競)トビウメ (ルーヂゲーア* 牡1917黒鹿毛)
|ミムロ(ルーヂゲーア* 牡1918黒鹿毛)種牡馬
|プレヴァレンス(競)ハツリュウ(コイワヰ 牝1919黒鹿毛)
||大昭寶(競)トキツカゼ(トリニチースクエーア* 牝1927鹿毛)⇒ウインザライン(戸塚記念)、サンダービー(B桜花賞)
||北寶(競)ホウセン(トリニチースクエーア* 牝1928栗毛)
||吉寶(競)キッポウ(トリニチースクエーア* 牝1929黒鹿毛)A中山大障害
||伯寶(競)フクマル(クラックマンナン* 牝1931栗毛)
||秀寶(トリニチースクエーア* 牝1932栗毛)
||暁寶(競)サチカゼ(アデージ* 牝1933栗毛)
||康寶(競)マイトップ(アデージ* 牝1934黒鹿毛)
||勇功(競)ダイゴロー(昭慶 牡1938鹿毛)
||永昌(アデージ* 牡1940青毛)
|イワヰ(前)プロムト(コイワヰ 牝1920黒鹿毛)帝室御賞典
||ワカイワヰ(シアンモア* 牝1930黒鹿毛)B帝室御賞典
|||フクイワヰ(競)バンナーゴール(ダイオライト* 牝1939鹿毛)中山四歳牝馬特別(現桜花賞)
||||ツキヒサ(月友 牝1946栗毛)京都記念 ⇒イーグル(京都記念)、ニシキノボーイ(東京王冠賞)、
|||| ダイゴアルファ(毎日杯)、イイデセゾン(Bダービー、皐月賞)、アフターミー、
|||| ビックファントム(新潟ダービー)、ブラックjングウ(サラブレッド大賞典)、ウルフパーシア(開設記念)
||||モリマツ(イブキヤマ 牡1949黒鹿毛)東京新聞杯 種牡馬
|||第三ワカイワヰ(トウルヌソル* 牝1941鹿毛)⇒タイホウヒーロー(目黒記念)、ゴールドダンサー(エンプレス杯)
||イワヰセカンド(競)ヒメイワヰ(トウルヌソル* 牝1932鹿毛)
|||プリソール(競)プリセカンド(プリメロ* 牝1939鹿毛)⇒ダイワテスコ(報知杯4歳牝馬特別(桜TR))、ミクロンテンロー(新潟大賞典)、セイショウ(東京ダービー)、
||| ハロートモ(ゴールドC)、マルマンセンター(東海桜花賞)、ハロユウ(全日本3歳優駿)、
|||チヨダトップ(ミラクルユートピア 牝1944青毛)⇒クイントップ(東京障害特別)、ミルトップ(浦和桜花賞)、イサミオー(A東京障害特別)
||イワヰカブト(トウルヌソル* 牡1933栗毛)帝室御賞典、横浜特別
||リーデングモア(競)タツカブト(シアンモア* 牡1935黒鹿毛)
||祝福(競)シュクホウ(トウルヌソル* 牝1936鹿毛)
||イワヰブネ(トウルヌソル* 牝1937鹿毛)
||ダイナミック(ダイオライト* 牡1938黒鹿毛)
|パシフィック(競)クヰンフロラー(ガロン* 牝1922栗毛)帝室御賞典
||第六シアンモア(競)セイウン(前)オホツカヤマ(シアンモア* 牡1929鹿毛)A日本ダービー、帝室御賞典
||第貳パシフィック(競)テツリュウ(シアンモア* 牝1930鹿毛)
||第参パシフィック(競)イナリヤマ(前)ヨシモア(シアンモア* 牝1932鹿毛)
||第四パシフィック(競)サンゲツ(ラシデヤー 牝1933栗毛)
|||ディプレイク(シアンモア* 牝1943栗毛)
||||トパーズ(ハタカゼ 牡1954栗毛)京王杯AH 種牡馬
||||ツルミヒメ(シマタカ 牝1956黒鹿毛)⇒ミスターシクレノン(鳴尾記念、A天皇賞(春))、エリモイーグル(中山大障害)、トウメイスキー、
|||| ナオユキ、ミスタートウジン、サンエムプライズ
||||グランドフェアー(ハロウェー* 牝1957青毛)⇒サクライワイ(スプリンターズS2回、安田記念、A桜花賞)、アスキットクイン(ニューイヤーC)
||||テラオタイム(トサミドリ 牝1960黒鹿毛)⇒イイデライナー(京都4歳特別)、ホンマルシロー(中山大障害)
||||ミドリボシ(トサミドリ 牝1961栗毛)⇒サンコーモンド(東京ダービー、報知オールスターC)、ゴールドスペンサー(ゴールドC、川崎記念、NTV杯)、
|||リオン(セフト* 牡1945栗毛)B中山記念 種牡馬
|||ショウゲツ(月友 牝1947栗毛)
||||カミトモ(シマタカ 牝1951鹿毛)⇒ニットエイト(菊花賞、天皇賞)
||||羽月(ビッグヴィ* 牝1954栗毛)⇒マキバサイクロン(関屋記念)
||||トキノウィナー(ハロウェー* 牡1957鹿毛)京都4歳特別
||||キングダンディー(ハロウェー* 牡1960鹿毛)NHK杯
||第五パシフィック(競)キンモア(シアンモア* 牝1935鹿毛)
|||フジモア(トシシロ 牡1946青毛)カブトヤマ記念
||第六パシフィック(競)ギムレー(シアンモア* 牝1926鹿毛)⇒リクオー(中山大障害)、テイエムリズム(小倉3歳S)、エイシンフェアリー(東京障害特別)、
|| サチマサオー(京都大障害)、スズカクイン(阪神障害S)、マウントグローリ(関東オークス)
||第七パシフィック(競)ミスミナミ(プリメロ* 牝1937栗毛)横浜特別、A菊花賞、B桜花賞
|||ミスヒガシ(シアンモア* 牝1943鹿毛)
||||パシフィックボート(競)ミヤコツバキ(セントライト 牝1950黒鹿毛)⇒トウショウゴッド(目黒記念、弥生賞)、パシカリーム(金鯱賞)、トキ(東京障害特別)
|||| ファインポート(東京大賞典、戸塚記念、中央競馬招待、NTV杯)、
|||| ホウエイコスモス(大井記念、東海菊花賞)、シャンタン(エンプレス杯)
|||| ハネダリーディング(戸塚記念)、トウホーカムリ(ANHK杯)
||||ブルーライト(トシシロ 牡1952栗毛)京都大障害
||||ハマリュウ(ビッグヴィ* 牡1955鹿毛)B京都大障害
||||ハマイサミ(ヴィーノーピュロー* 牝1957栗毛)⇒レガシーワールド(ジャパンカップ、セントライト記念、A有馬記念)、
|||| オーバーレインボー(京都新聞杯、日経新春杯、金鯱賞、札幌記念2回)、ダイゴハマイサミ(阪神障害S)、
|||| レガシーフィールド(阪急杯)、ダニッシュガール(府中牝馬S)、メガスターダム(ラジオたんぱ杯2歳S)、
|||| タイアオバ(Aオークス)、イチハマイサミ(報知グランプリC)、ガンカディーン(報知オールスターC)
||第八パシフィック(競)ペンゲラン(プリメロ* 牝1938黒鹿毛)
||第九プリメロ(プリメロ* 牡1939鹿毛)
|プロミーズース(コイワヰ 牝1923鹿毛)
||陸奥甲(競)コユキヒメ(カブトヤマ 牝1936鹿毛)⇒アルエット(クイーン賞)
||ウァルドマイン(プライオリーパーク* 牡1937青毛)農林賞典四歳呼馬(現皐月賞)
|プルーデント(競)ヱキスセル(コイワヰ 牝1924鹿毛)
|第三ラシボニー(競)ローリエイト(前)ロザン(ラシボニー 牡1925黒鹿毛)A帝室御賞典
|第五ラシボニー(競)ビックパレード(ラシボニー 牡1926栗毛)
|トロージヤン(トリニチースクエーア* 牡1928鹿毛)
|フィーニクス(競)タマリウ(トウルヌソル* 牝1930栗毛)
||ヘンウン(アスパイヤリング 牡1935青毛)中山記念、目黒記念、横浜特別2回 種牡馬
||サチトミ(シアンモア* 牡1944青毛)中山記念 種牡馬
||キョウシュウ(プリメロ* 牝1947栗毛)A京都大障害
|||トカチエリト(トシシロ 牝1956栗毛)⇒フェスティブキング(関屋記念)、アスキットパーシャ(報知グランプリC)、リキアラシ(中津王冠)、テルノシンゲキ
|||アサブエ(トシシロ 牡1957栗毛)川崎記念
|||スズブエ(公)キングブルース(ハロウェー* 牝1958栗毛)新春杯⇒レインボーアンバー(弥生賞、A菊花賞)、ダイセンプー(京王杯SH)、
||| カルストンイーデン(京都大障害)、カルストンファスト(京都大障害)、
|||ミスズ(ハロウェー* 牝1959栗毛)
|||ウィステリヤ(マイナーズランプ* 牝1962栗毛)福島記念
||第五フィーニクス(プリメロ* 牝1950栗毛)
|||ミスリョウゴク(シーフュリュー* 牝1964鹿毛)⇒センゴクヒスイ(新潟記念)、センゴクルビー(東京障害特別)、ネイティブボーイ(東京障害特別)
第十八インタグリオー (競)エチゴ 牡 1911 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
【戦績】25戦13勝 【主な勝鞍】A帝室御賞典、B帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
ビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamer 栗 1903 GB 1907年輸入 |
エンシュージアスト Enthusiast 栗 1886 GB |
スターリング Sterling |
Oxford |
Whisper |
|||
チェリーダッチェス Cherry Duchess |
The Duke |
||
Mirella |
|||
レポソー Reposo 栗 1894 GB |
アンフィオン Amphion |
Rosebery |
|
Suicide |
|||
モノトミー Monotomy |
See Saw |
||
Orchestra |
F.No.[12]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正3 |
6/28 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
4 |
3 |
1-9馬身 |
127 |
川上 |
ホーヘイ |
|
11/7 |
東京 |
内国産呼馬 |
1M |
7 |
2 |
5馬身 |
125 |
政次郎 |
マナオ |
|
11/8 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
9 |
2 |
1馬身 |
121 |
政次郎 |
ハナビシ |
|
11/14 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1M |
8 |
1 |
*1.47.03 |
122 |
政次郎 |
アズマ |
|
11/15 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
5 |
2 |
1馬身 |
111 |
政次郎 |
マナオ |
4 |
5/1 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
5 |
1 |
2.00.29 |
122 |
政次郎 |
コイワヰ |
|
5/2 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
7 |
3 |
3-1/2馬身 |
139 |
政次郎 |
フロリスカップ |
|
5/9 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 1/2M |
4 |
- |
1位入線後失格 |
マナオ |
||
|
11/20 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
6 |
2 |
1/2馬身 |
134 |
勝雄 |
マナオ |
|
11/21 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
5 |
1 |
*2.43.65 |
134 |
遠藤 |
ミツイワヰ |
|
11/28 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
1 |
*3.10.00 |
134 |
遠藤 |
マナオ |
【獲得賞金】6,510円
《代表産駒》
産駒 |
|
主な勝鞍 |
セントメリー |
牝 |
アラブ系馬障碍大競走 |
《繁殖成績》
大正5(1916)年より供用(福島県種畜場)
昭和10(1935)年廃用
《解説》
第五インタグリオーの全弟であるが、活躍したのは僅かにこちらが先であるから、第五インタグリオーがエチゴの全兄というべきであろう。自身と同じ、マナオらインタグリオー*産駒と上位を争い、遂に大レースを制することはできなかったが、帝室御賞典競走で2度入賞し、3回にわたってレコードを更新した。
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
セントメリー |
|
牝 |
1932 |
|
第二鷲見 |
|
アラブ系馬障碍大競走 |
|
アケタカ |
山高 |
牡 |
1930 |
青 |
玉鶴 |
福島県常葉 安瀬義衛 |
|
平間久兵衛氏所有 |
エッチゴー |
- |
牡 |
1933 |
栗 |
第二鷲尾 |
日高・新冠 山口多吉 |
3勝 |
田中興三郎氏所有 |
インペル |
- |
牡 |
1921 |
黒鹿 |
ボニーナンシー* |
福島県船引 田村半吾 |
- |
- |
トクホ 牡 1912 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 平岡廣高氏所有 |
【戦績】38戦13勝(13-14-2-9) 【主な勝鞍】優勝内国産馬連合競走
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
フェアペギー* Fair Peggy 栗 1902 GB 1907年輸入 |
セイントグリス St.Gris 黒鹿 1896 GB |
ガロピン Galopin |
Vedette |
Flying Dutchess |
|||
イサベル Isabel |
Plebeian |
||
Parma |
|||
レデーペギーフェアファクス* Ladypeggyfairfax 1896 GB 1907年輸入 |
エンタープライズ Enterprise |
Sterling |
|
King Tom Mare |
|||
バルレッタ Barletta |
Barcaldine |
||
Cipollina |
F.No.[6]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正4 |
11/20 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
13 |
1 |
2.02.50 |
128 |
尾形 |
ミツイワヰ |
|
11/27 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
10 |
1 |
3.43.60 |
125 |
尾形 |
ミツイワヰ |
大正5 |
4/29 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
5 |
2 |
2馬身 |
134 |
尾形 |
マナオ |
|
4/30 |
東京 |
帝室御賞典 |
1M |
10 |
2 |
2馬身 |
134 |
尾形 |
コザクラ |
|
5/6 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
5 |
1 |
*2.11.57 |
128 |
尾形 |
フェアーペギー |
|
5/7 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
1 |
3.21.25 |
- |
尾形 |
コイワヰ |
|
11/4 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
7 |
2 |
鼻 |
144 |
尾形 |
コイワヰ |
|
11/5 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
10 |
2 |
頸 |
144 |
尾形 |
キクハナ |
|
11/11 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
3 |
2 |
3馬身 |
145 |
尾形 |
インタグリオ |
|
11/12 |
東京 |
内国産呼馬未勝利 |
1 1/8M |
7 |
1繰上 |
2.08.65+頭 |
144 |
尾形 |
シンコイワヰ |
大正6 |
5/6 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
6 |
1 |
*2.43.55 |
147 |
尾形 |
ミツイワヰ |
|
5/13 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
1 |
3.11.43 |
147 |
尾形 |
アフリカンダー |
|
11/17 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
7 |
3 |
2馬身-頸 |
150 |
尾形 |
キクハナ |
|
11/18 |
東京 |
内国産呼馬未勝利 |
1 1/8M |
11 |
2 |
2.01.66 |
158 |
尾形 |
ウエットセール |
大正8 |
5/3 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
4 |
3 |
1馬身-5馬身 |
130 |
尾形 |
ロードフェヤーファックス |
【獲得賞金】10,472円
《繁殖成績》
大正8(1919)年より大正12(1923)年まで供用(福島県安達郡)
《解説》
日本におけるインタグリオー*の種牡馬デヴューは連合二哩四連覇という華々しいものだったが、その四勝目をあげたのがトクホである。トクホは名馬コイワヰに土を付けたこともあるなかなかの強豪で、上記戦績中に登場するフェアーペギー(繁殖名第二フェアペギー)は本馬の全姉で、ロードフェヤーファックスは全弟である。
母譲りで気性のよいトクホは、小岩井農場産馬としては早い3歳の12月に目黒の祐天寺裏にある多賀厩舎に入厩した。多賀厩舎は明治帝の御者である多賀一を長兄とする三兄弟の経営する厩舎で、まだ若い尾形景造(藤吉)が所属していた。尾形にとっては初めての小岩井産馬であった。
トクホというのは、多賀三兄弟の次兄、平岡廣高の雅号、得甫に由来する。平岡氏は明治初年に新橋・竹川町に料亭花月楼を開いた人物で、力士を集めたり芸者を集めたりと芸界に通じ、画家であり、歌人でもあった。海外経験も豊富で、夫人を伴ってヨーロッパを漫遊した際に立ち寄ったパリ郊外の児童遊園地に感心し、帰国すると大正3年に横浜・鶴見の東福寺の境内3万坪を借りて、児童遊園地「花月園」を開いた。児童の体力育成を理念とした花月園は、児童本位の設備を多く設け、衛生施設も整備し、救護所も設けて万一に備えていた。花月園は東洋一の遊園地と評されてたいへんに繁盛し、動物園やスケート場、ダンスホールや音楽堂も設けられ、当時の日本の画家の作品を一堂に集めた絵画展覧会も開催された。最盛期には敷地7万坪、年間の来園者が100万人を超えた。花月園は平岡氏の晩年、昭和8年に京浜急行電鉄に売却され、戦後閉鎖されて跡地は花月園競輪場となった。
平岡氏は馬券禁止時代に馬券密売で逮捕されたこともあるというほど競馬にも入れ込んでいた。そもそも平岡氏は明治天皇の御召馬車の御者であった多賀一氏の弟で、多賀一、多賀半蔵、平岡廣高の3人兄弟で目黒の祐天寺裏で厩舎を経営し、ハジメ、ハンゾウ、ヒロタカの3人の頭文字であるHから「Hクラブ」と称していた。
鶴見に花月園を開業させたばかりの大正4年、新橋の花月楼の経営が立ち行かなくなり、トクホを売却して資金繰りをせざるを得ない境遇に陥った。売るのは忍びないと考えた関係者は、晩成馬とみなされていたトクホを、早く賞金を稼ぐために4歳からレースに出した。連合二哩の大賞金を狙ってのことである。連合二哩の出走資格は新呼馬優勝戦で一、二着に入る必要がある。秋の連合二哩に間に合わせるため、トクホは横浜でデビューすることになった。ここで二着になったトクホは秋の東京競馬に臨み、初日の呼馬戦では、ミツイワヰを4馬身離して勝った。ミツイワヰはトクホの1歳上の小岩井産馬で、当時盛んなコイワヰと別路線を歩んで実績を積むと、直前の呼馬戦ではコイワヰと頭差の接戦を演じて力を示し、翌週の連合二哩ではミツイワヰが一番人気となった。
日本騎手倶楽部の監事を務める北郷五郎騎手のミツイワヰ陣営から、尾形の騎乗技術を誹る声が出た聞き、尾形は必勝を期して三週間の願掛けを決意した。塩絶ち、茶絶ちと言ってあらゆる塩分の摂取を禁じ、2キロ先の山上の馬頭観音へ毎晩夜詣でを続けた。結局願掛けは連合二哩本番まで4週間、28日にわたって続いた。
こうして臨んだ連合二哩本番では、尾形のトクホは残り半マイルの第三コーナー手前からのロングスパートで、断然一番人気のミツイワヰに4馬身差の圧勝で優勝した。この賞金によって、花月楼の経営危機は脱せられた。後に尾形は北郷やその師である高橋孔照と和解した。その後トクホは御賞典奪取はならなかったが、長く走って小岩井農場生産馬としてはコイワヰとレッドサイモンに次ぐ賞金を稼いだ。
母フェアペギー*は栗毛の四白流星で派手な外見の馬だったが、その母系は17世紀の芦毛馬Old Morroco Mareにたどることができる。芦毛馬の祖先としては余りにも有名なAlcock Alabianがいるが、それ以外の芦毛の東洋種であるOld Morroco Barbの芦毛の遺伝子はOld Morroco Mareを通して伝わり、途中でAlcock Alabian系のCrabと交わりながら、19世紀初頭のGrey Duchessまで続いた。
バルレッタというイタリア名の牝馬はGrey Duchessから100年後の子孫で、その仔レデーペギーフェアファクス*とブラマンテー*は、1907年にイギリスから日本の下総御料牧場に輸入された。ブラマンテー*は連合二哩の勝馬ピーターパンを出した程度で、レデーペギーフェアファクス*はほとんど後世に影響を残さなかったが、同じ年に輸入されたフェアペギー*は小岩井農場の基礎牝馬となって、ビューチフルドリーマーやフロリースカップらには及ばないものの、それらに次ぐ規模のファミリーを築き、特に種家の子孫はヒロザクラやトヨウメなどの天皇賞馬を出して1940年代から50年代にはそこそこの繁栄を見せた。ずっと後には薬物疑惑で世間を騒がせたステートジャガーを出している。一方、バルレッタはといえば後にドーバー海峡を渡りフランスへ、さらに大西洋の向こうのアルゼンチンへ輸出され、バルレッタの半妹のMrs.Vealはイギリスから南アフリカへ運ばれて、この牝系は世界をぐるりと回った。Mrs.Vealの末裔は現在も南アフリカのG1レースを勝ち、また本年のUAEダービー馬Victory Moonもこのファミリー出身である。
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
備考 |
ミツホ |
- |
牡 |
1922 |
栗 |
第二オーデヤレスト |
福島県伊達郡 |
種牡馬(大正12年〜昭和8年) 福島県伊達郡 |
アプリアルノニ サラ系 |
- |
牡 |
1923 |
栗 |
第二アプリアル |
福島県大綱木村- |
種牡馬(大正15年〜不明) 福島県伊達郡 |
第七アストニシメント (競)ペットレル 牝 1915 黒鹿 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 A・M・ワット氏所有 |
【戦績】20勝 【主な勝鞍】帝室御賞典、優勝内国産馬連合競走
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
アストニシメント* Astonishment 黒鹿 1902 GB |
クイックリーワイズ Quickly Wise 1890 GB |
ウィズダム Wisdom |
Blinkhoolie |
Aline |
|||
クイックストリーム Quickstream |
Trumpeter |
||
Quick March |
|||
トゥワール Twirl 鹿 1894 GB |
ベンディゴー Bendigo |
Ben Battle |
|
Hasty Girl |
|||
ハバネラ Habanera |
Isonomy |
||
Polonaise |
F.No.[7-c]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正7 |
11/10 |
東京 |
抽籤内国産新呼馬 |
1M |
2 |
1 |
1.52.65 |
118 |
八木澤 |
テンリュウガワ |
|
11/17 |
東京 |
抽籤内国産新呼馬優勝戦 |
1M |
6 |
1 |
1.51.80 |
118 |
八木澤 |
ミンドル |
大正8 |
4/27 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
15 |
1 |
*2.41.53 |
126 |
仲住 |
シンリウ |
|
5/3 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
7 |
1 |
3.47.13 |
125 |
仲住 |
ノラ |
|
5/16 |
横浜 |
オールカマーハンデ |
1 1/4M |
- |
1 |
2.10.1/5 |
127 |
仲住 |
ロードフェヤーファクス |
|
11/7 |
横浜 |
オールカマーハンデ |
1 1/4M |
- |
1 |
2.12.1/5 |
139 |
仲住 |
ノラ |
|
11/16 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
6 |
2 |
4馬身 |
134 |
仲住 |
ムアーメード |
|
11/22 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
7 |
1 |
2.19.60 |
150 |
仲住 |
フヱザント |
9 |
11/13 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
8 |
1 |
2.01.78 |
153 |
仲住 |
クヰンマリー |
|
11/21 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
6 |
1 |
3.17.23 |
146 |
仲住 |
クヰンマリー |
10 |
6/25 |
福島 |
内国産呼馬(福島県賞典) |
1 1/2M |
- |
1 |
2.52 |
127 |
柴田 |
ホーンビーム |
|
10/28 |
横浜 |
オールカマーハンデ |
1 1/4M |
- |
1 |
2.10.1/2 |
155 |
仲住 |
ナニワ |
|
11/13 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
5 |
1 |
2.40.88 |
158 |
仲住 |
アスベル |
【獲得賞金】
《繁殖成績》
不明
《解説》
種牡馬デビュー間もない時期に日本競馬界を席巻した小岩井農場のインタグリオー*産駒であったが、最初期の産駒が無人の荒野を行くが如くの活躍をしたあとはさっぱり走らなかった。サラブレッドの競売価格も低迷し、不況の感漂う競馬界において、日本のサラブレッド生産地として頂点を極めた小岩井農場の経営も数年ですっかり暗雲が立ち込めてしまった。小岩井農場は打開策としてインタグリオー*の後継種牡馬となるべくルーヂゲーア*を導入したが産駒の成績は期待を下回った。ところが大正7年に抽籤馬だった本馬ペットレルが活躍を始めると、連鎖的にインタグリオー*産駒が大レースを勝ち始め、小岩井農場とインタグリオー*は第二の黄金期を迎えることになった。
新馬戦を大差勝ちした抽選馬のペットレルは続く優勝戦も10馬身差で圧勝すると、翌年には御賞典をレコード勝ちし、翌週には連合二哩も勝ってしまった。まったく、インタグリオー*産駒が日本で走り始めた頃のような無敵の活躍で、この後全妹のクヰンマリーをはじめ、インタグリオー*産駒の活躍馬が再び登場することとなった。
ペットレルは繁殖牝馬として記録を残していない。15年後、小岩井農場は農場の窮地を救ったペットレルに敬意を表してか、シアンモア*産駒の牝馬にふたたびペットレルと名づけた。こちらのペットレルは競馬では未勝利に終わったが、繁殖牝馬としてオークス馬コマミノルを出し、子孫は繁栄した。近年の最優秀ダート馬であるカリブソングやライブリマウントはこの2代目ペットレルの末裔に当たる。
第八アストニシメント (競)クヰンマリー 牝 1916 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 土田荘助氏所有 |
【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
アストニシメント* Astonishment 黒鹿 1902 GB |
クイックリーワイズ Quickly Wise 1890 GB |
ウィズダム Wisdom |
Blinkhoolie |
Aline |
|||
クイックストリーム Quickstream |
Trumpeter |
||
Quick March |
|||
トゥワール Twirl 鹿 1894 GB |
ベンディゴー Bendigo |
Ben Battle |
|
Hasty Girl |
|||
ハバネラ Habanera |
Isonomy |
||
Polonaise |
F.No.[7-c]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正9 |
4/24 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
3 |
3 |
2 1/2-6 |
123 |
尾形 |
ロロー |
|
4/25 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1 1/8M |
2 |
2 |
6馬身 |
123 |
尾形 |
ガリピン |
|
5/1 |
東京 |
内国産新呼馬 |
1M |
単 |
1 |
1.54.3 |
123 |
尾形 |
- |
|
11/13 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
8 |
2 |
3馬身 |
125 |
尾形 |
ペットレル |
|
11/14 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
16 |
1 |
2.00.73 |
123 |
尾形 |
フヱザント |
|
11/20 |
東京 |
優勝内国産馬連合競走 |
2M |
10 |
2 |
2馬身 |
125 |
尾形 |
ホーンビーム |
|
11/21 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
6 |
2 |
2馬身 |
120 |
尾形 |
ペットレル |
大正10 |
5/1 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
8 |
1 |
2.44.07 |
126 |
尾形 |
ダークメード |
|
5/8 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
2 |
2馬身 |
124 |
尾形 |
ホーンビーム |
|
11/12 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
7 |
1 |
1.58.47 |
137 |
尾形 |
クワンサイ |
|
11/20 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
5 |
3 |
頸-2/12 |
130 |
尾形 |
ダークメード |
大正11 |
4/16 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
6 |
1 |
2.47.89 |
134 |
尾形 |
オーロラ |
|
4/23 |
東京 |
内国産呼馬優勝戦 |
1 3/4M |
6 |
2 |
3馬身 |
134 |
美馬 |
ウードコック |
【獲得賞金】
《代表産駒》
産駒 |
|
主な勝鞍 |
サンシャイン |
牝 |
帝室御賞典、各内国産牝馬連合競走 |
コールオン |
牡 |
B帝室御賞典 |
《繁殖成績》
大正3年〜昭和7年供用。(秋田県)
昭和8年斃死。
《解説》
ペットレルと一年違いの全妹だが、デビュー直後は不甲斐ない成績で、新馬戦を単走でなんとか勝ち上がった程度だったが、秋には成長して帝室御賞典を制した。
土田万助
つちだ‐まんすけ 県南財政界の大立者(土田万助 塩田団平)
1869‐1942
明治-昭和時代前期の農業指導者。
明治2年1月6日生まれ。郷里の秋田県館合村に農会を設立し、科学農法による米の品質改良や耕地整理、植林などをおこなう。大正4県議会議長。県会議長、館合村長などをつとめ大正7年貴族院議員。昭和17年6月15日死去。74歳。秋田師範中退。
秋田県を南北に流れる雄物川の中流に位置する館合村の大地主で村長だった土田萬助(M2〜1942)は大正時代になって日本中に鉄道ブームが興ると、地元(と言っても自己所有地が大半だが)の米や材木を港へと輸送するため、秋田内陸の横手から日本海側の本荘を結ぶ横荘鉄道を開業させた。最終的には太平洋の釜石港を目指す野心的なプロジェクトだったが、昭和の恐慌の中で計画は頓挫し、全通することはなかった。しかし、大正8年には横手から雄物川岸の館合まで開業し、駅周辺はにわかに賑わい、周辺の物資を駅へと運ぶために農場を造り、馬を養った。この土田農場を経営した土田荘助(M21〜S37)は大正7年に自費で競馬場を造成し、大上競馬場として運営した。土田農場の最初の活躍馬がクインマリーである。農場からはその後、ダービー馬フレーモアが登場し、クインマリーも農場でサンシャインを出した。鉄道は昭和20年代に地方を襲った二度の台風で大損害を受け、漸く復旧した後も昭和40年代に老朽化した雄物川の鉄橋の橋脚が大雨で崩落し、廃業に追い込まれた。
繁殖として優秀で、御賞典馬サンシャインを出した。サンシャインは更に中山大障害のシャインモアを出し、シャインモアもサチヒカリ(中山大障害)を産んで、4代連続で重賞勝馬となった。しかし後継繁殖牝馬には恵まれず、ファミリーは途絶えた。
【第八アストニシメント ファミリー】
アストニシメント* Astonishment
|第八アストニシメント (競)クヰンマリー 帝室御賞典
||クイックガロン(ガロン* 牡1925栗)斃死
||ヤングスター (競)ウードファイン(ガロン* 牡1925栗)
||サンシャイン (ガロン* 牝1926栗) 帝室御賞典、各内国産牝馬連合競走
|||シャインモア (シアンモア* 牝1935鹿)中山大障害
||||重光(競)ヒロハタ(ダイオライト* 牡1943黒鹿)種牡馬
||||捷光 (競)タカフブキ (ミラクルユートピア 牡1945鹿)Bセントライト記念、カブトヤマ記念
||||清光 (競)トシヒメ(トシシロ 牝1947青)
||||幸光 (競)サチヒカリ(ダイオライト* 牡1948青)中山大障害
|||プリンスモア (シアンモア* 牡1936鹿)
||コールオン(ガロン* 牡1927栗)A帝室御賞典
||ポーリン (シャイニングスピヤー*牝1929鹿)
|||バーラムポーリン (競)イガヒビキ(アスフォード 牡1935鹿)
|||ハイルモンド (競)カネヒビキ(レイモンド* 牡1936鹿)
|||メルボン(プリメロ* 牡1938鹿)
|||プレーメロ(プリメロ* 牡1939鹿)
|||ホーネ−(プリメロ* 牝1940鹿)
|||第二ポーリン (競)シナガワ(プリメロ* 牝1944鹿)
||エーモア(シアンモア* 牡1930鹿)種牡馬
||ゴロウマル(トウルヌソル* 牡1932栗)
清駒 (競)カメオ (旧)第四十四ビューチフルドリーマー 牡 1916 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
【戦績】17勝
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
ビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamer 栗 1903 GB 1907年輸入 |
エンシュージアスト Enthusiast 栗 1886 GB |
スターリング Sterling |
Oxford |
Whisper |
|||
チェリーダッチェス Cherry Duchess |
The Duke |
||
Mirella |
|||
レポソー Reposo 栗 1894 GB |
アンフィオン Amphion |
Rosebery |
|
Suicide |
|||
モノトミー Monotomy |
See Saw |
||
Orchestra |
F.No.[12]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正9 |
11/14 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/2M |
6 |
2 |
1馬身 |
129 |
北郷 |
レッドウヰング |
10 |
5/8 |
東京 |
内国産呼馬 |
1 1/8M |
7 |
3 |
3 1/2-2 |
140 |
稲葉 |
アイダホ |
|
11/19 |
東京 |
内国産呼馬ハンデ |
1 1/4M |
3 |
2 |
1/2馬身 |
116 |
小林 |
ダークメード |
《繁殖成績》
昭和3年より供用(千葉県菅井農場)
昭和6年廃用
《解説》
ビューチフルドリーマーはインタグリオー*との間に多くの産駒を設け、そのうち第五インタグリオー((競)インタグリオ)と第十八インタグリオー((競)エチゴ)は一級の活躍をした。この配合で競走年齢に達する前に死んだものを除いては五番目の産駒であるカメオは、当初、第四十四ビューチフルドリーマーと名づけられていたが、競走ではインタグリオー*の母の名をとってカメオと名づけられた。なぜ牝馬の名を付けられたのかは不明。カメオは17勝をあげてなかなかの活躍をしたようである。(※東京競馬の記録では、大正10年以降カメオの名は登場しないが、大正11年にキヨコマというかなりの活躍馬が登場している。キヨコマは春にダークメード(別項参照)を破り、秋には帝室御賞典で2着になって、優勝戦に勝っている。キヨコマとカメオ/清駒との関係は不明。或いは改名?)
《産駒一覧》
産駒 |
血統名等 |
性 |
生年 |
毛色 |
母 |
生産地等 |
競走成績、勝鞍等 |
備考 |
第二若葉 |
- |
牝 |
1925 |
鹿 |
若葉 |
千葉・遠山村 和田孝一郎 |
- |
折舘文司郎氏所有 |
ヤングホース |
- |
牡 |
1926 |
栗 |
第四アプリアル |
千葉 |
福島・古呼馬特ハン(昭6)、B帝室御賞典(阪神)、 |
|
第二ガロピン |
ハクオー |
牝 |
1931 |
栗 |
第一レディーコンフィデンス |
千葉・香取町 菅井牧場 |
- |
秋本彌平氏所有 |
ストレンマーチ |
- |
牝 |
1931 |
栗 |
ダイアナ* |
千葉・遠山村 中谷傳次 |
- |
赤松直蔵氏所有 |
種秀 (前)第六プロポンチス 牝 1916 鹿 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
プロポンチス* Propontis 鹿 1897 GB |
レイヴンズベリー Ravensbury 鹿 1890 GB |
アイソノミー Isonomy |
Sterling |
Isola Bella |
|||
ペニテント Penitent |
Hermit |
||
Stray Shot |
|||
マーモラ Marmora 鹿 1878 GB |
アドヴェンチュアラー Adventurer |
Newminster |
|
Palma |
|||
マイライナー Milliner |
Rataplan |
||
Manganese |
F.No.[4-d]
《代表産駒》
産駒 |
|
主な勝鞍 |
アスコット |
牡 |
帝室御賞典、目黒記念、中山4000米、農林賞典競走、横浜特別 |
ワカクサ |
牡 |
帝室御賞典、各内国産古馬連合競走 |
ラプトン |
牡 |
A帝室御賞典 |
《繁殖成績》
大正8年(1919)〜大正14年(1925)千葉県印旛郡・宮内省下総牧場
大正15年(1926)〜昭和2年(1927)北海道静内・宮内省新冠牧場
昭和3年(1928)〜昭和10年(1935)千葉県印旛郡・宮内省下総牧場
昭和11年(1936)〜昭和15年(1940)鹿児島県郡山村・宇都甚四郎
昭和16年(1941)〜昭和17年(1942)鹿児島県月野村・藤元種蔵
昭和17年8月斃死
《解説》
歴史的名馬アスコット、ワカクサを出して、プロポンチス*の後継牝馬として最良の成績を残した種秀だったが、その後のファミリーは第二、第四プロポンチスに比べて二回りは地味である。牝駒では函館で供用されたグランダーが仔出しの割には優れた産駒を出さず、波秀の子孫にも特筆するべき産駒は出なかった(家秀には繁殖記録がない)。残る博清は雪清と月清という牝馬を残し、朝鮮へ輸出された(厳密には当時の朝鮮は併合により日本領扱いなので「輸出」というのは適当ではないかもしれない)。トウルヌソル*産駒の雪清は10年に渡って受胎せず、転売されて行方不明となった。現役時代に帝室御賞典で入着もしている月清は苫小牧で供用されて一流種牡馬と配合されて産駒を残しているが、その仔の繁殖記録は残っていない。博清はその後も朝鮮の李王職蘭谷牧場で産駒を出したが、そのまま終戦を迎えてその後の動静は産駒とともに不明である。こうしてほとんど種秀の子孫は短い期間に表舞台から姿を消すが、朝鮮での最初の産駒、スターライトだけが荻伏に戻って繁殖に上がり、仔を残した。この僅かに伝えられた種秀の血は、半世紀後の1990年代に入ってアイネスフウジンとハクタイセイという2頭のクラシックホースを送り出した。最初の大レースの勝馬ワカクサから数えて実に60年ぶりの復活であった。
【種秀 ファミリー概観】
種秀
|グランダー(競)ハト(ブラマンテー* 牝1920鹿毛)
|ラプトン(チャペルブラムプトン* 牡1922鹿毛)A帝室御賞典 種牡馬
|慶望(ダイヤモンドウェッディング* 牡1923鹿毛)
|博清(競)ハクホウ(チャペルブラムプトン* 牝1925栗毛)
||雪清(トウルヌソル* 牝1931栗毛)
||月清(競)ムーンライト(ハクショウ 牝1932栗毛)B帝室御賞典
|||雪清(ステーツマン* 牝1939鹿毛)
|||俊清(レヴューオーダー* 牝1941栗毛)
|||南清(ダイオライト* 牝1942栗毛)
|||長清(ダイオライト* 牝1943鹿毛)
||スターライト(競)ウイデア(ハクショウ 牝1936鹿毛)
|||初櫻(ワカマサ 牝1941鹿毛)
|||ライトスピード(大鵬 牝1942鹿毛)
|||星旗(大鵬 牡1944黒鹿毛)
|||ハタライト(競)ユキツキ(クモハタ 牝1946鹿毛)⇒アイネスフウジン(最優秀3・4歳牡馬 日本ダービー、朝日杯3歳S、共同通信杯)、
||| タカシゲ(京都4歳特別、京阪杯)、キクアサジロウ(B朝日杯3歳S)
|||トキライト(旧)ウインパワー(トキノチカラ 牡1947栗毛)
|||ハタスカゼ(クモハタ 牝1949栗毛)
|||ハタリュウ(競)ミスフォール(クモハタ 牝1953鹿毛)⇒ハクタイセイ(皐月賞、きさらぎ賞)、ダイイチオー(スワンS、神戸新聞杯、B天皇賞、宝塚記念)、
||| ブルーダーバン(京成杯)
||スターパール(ハクショウ 牡1936鹿毛)
||清博(競)キミーラ(ハクショウ 牝1938栗毛)
||勝清(ハクショウ 牡1938栗毛)
||昭清(ハクショウ 牡1940栗毛)
||嵐清(第貳拾九シアンモア 牝1943鹿毛)
|賢大(競)ケンヒデ(チャペルブラムプトン* 牡1926黒鹿毛)
|若草(競)ワカクサ(チャペルブラムプトン* 牡1927鹿毛)帝室御賞典、優勝内国産古馬連合競走 種牡馬
|山秀(競)アスコット(チャペルブラムプトン** 牡1928栗毛)帝室御賞典、目黒記念、中山4000米、農林賞典競走、横浜特別 種牡馬
|雪秀(トウルヌソル* 牡1931鹿毛)
|月秀(トウルヌソル* 牡1932鹿毛)
|波秀(トウルヌソル* 牝1933鹿毛)
|久秀(競)ヒサヒデ(山正 牡1934鹿毛)
|鶴秀(競)ドラゴンホース(山正 牡1935鹿毛)
|アスヒデ(アスフォード* 牡1937鹿毛)
|家秀(アスフォード* 牝1938鹿毛)
第四クロンファート (競)クロンファート 牝 1917 鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 ハンス・ハンター氏所有 |
【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
クロンファート* Clonfert 鹿 1903 GB |
ハックラー Hackler 鹿 1887 GB |
ペトラーク Petrarch |
Lord Clifden |
Laura |
|||
ハックネス Hackness |
Albert Victor |
||
Cicely Hackett |
|||
ディンプナ Dympna 1897 GB |
セイントデイヴィッド St.David |
Retreat |
|
Sultana |
|||
コートカード Court Card |
Royal Hampton |
||
Bendlet |
F.No.[14]
《競走成績》
【戦績】
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正9 |
11/14 |
東京 |
各抽籤内国産馬 |
1 1/4M |
8 |
1 |
2.17.47 |
117 |
清水 |
コザクラ |
|
11/21 |
東京 |
各抽籤内国産馬優勝ハンデ |
1 1/2M |
8 |
3 |
4-2馬身 |
118 |
佐々木 |
コマリウ |
10 |
4/30 |
東京 |
各抽籤内国産馬 |
1 1/8M |
5 |
2 |
1/2馬身 |
129 |
ファーレル |
グードラック |
|
5/1 |
東京 |
各抽籤内国産馬 |
1 1/4M |
4 |
2 |
1/2馬身 |
124 |
ファーレル |
トルーバドウーア |
|
5/7 |
東京 |
各抽籤内国産馬ハンデ |
1 1/8M |
7 |
1 |
2.10.15 |
129 |
ファーレル |
コザクラ |
|
秋 |
阪神 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
5 |
1 |
1.45.01 |
132 |
元石 |
|
|
11/20 |
東京 |
各抽籤内国産馬未勝利 |
1 1/8M |
8 |
3 |
1 1/2-1/2 |
139 |
伊藤 |
ラップウイング |
【獲得賞金】
《繁殖成績》
大正11年〜昭和10年供用(鹿児島県)
昭和10年斃死
《解説》
最盛期には東洋一の産出量を誇った大分・鯛生金山を開発したことで財を為した実業家ハンス・ハンター氏は神戸生まれの英国系二世で、本名は日本名で範多範三郎と言った。吉田茂と親しく交友し、神戸の英国館にも名を残すハンター氏は、日本にフライ・フィッシングをもたらした人物としても知られている。鉄工所を経営していた父の影響で、範三郎はロンドンの王立鉱山学校で鉱山学や冶金学を学び、海外ではhansaburouを縮めてhansと名乗ってアメリカや東南アジアの鉱山を歴訪して実務を学んだ。彼が帰国した頃には、日清・日露戦争によって鉱工業が発展していた。ハンター氏ははじめ朝鮮で鉱山経営に成功し、大正7年に九州の鯛生金山の開発に乗り出した。英国の最先端の鉱山技術をつぎ込んだ事業はすぐに大成功し、最盛期には年間1トンを超す金を産出し、九州の山奥の閑村はゴールドラッシュに沸いた。鯛生金山で経済的に充分な成功を収めた彼に日本の皇室から栄誉の賞典をもたらしたのが愛馬クロンファートであった。
半兄のコマイワヰやタチカゼの活躍に続いて阪神の帝室御賞典を勝ち、クロンファートはインタグリオー*の第二の黄金期の産駒の1頭となった。クロンファート*のファミリーはまもなくゴールドウヰングも出て大いに繁栄したのだが、鹿児島で繋養された第四クロンファートは活躍馬を出さず、サラブレッドとしての子孫はほとんど途絶えた。しかし、アングロアラブのファミリーは発展し、ゲンタロウ(最良アラブ)をはじめ、子孫のハートフジらを経由して現在も多数の重賞勝馬を出している。
ハンター氏は7年間で十分に利益を上げたとみるや、大正末には金山を他人に売却し、宮崎の見立鉱山の開発に注力した。見立鉱山は国内唯一の錫鉱山となって、戦前を通じて軍事上重要な鉱山となった。晩年のハンター氏は、小岩井農場の支場に隣接して武蔵野の土地1万6000坪を購入し、英国風の範多農場を拓き、外交官時代の吉田茂と交友した。(範多農場は現在の小金井カントリークラブに隣接した地域にあった。)やがて国際情勢が悪化すると、反戦運動をした吉田茂は投獄され、範三郎は日本国籍を取得して範多農場で隠遁生活を始めた。しかし、農場は東京大空襲の際に焼夷弾の爆撃を受けて甚大な被害を被り、直後に範三郎は脳梗塞で倒れた。終戦後彼の広大な農場は農地解放の名の下で接収され、敷地の一部は農林省のものとなった。
第九アストニシメント (競)クワンサイ 牝 1917 鹿 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
アストニシメント* Astonishment 黒鹿 1902 GB |
クイックリーワイズ Quickly Wise 1890 GB |
ウィズダム Wisdom |
St.Simon |
Mimi |
|||
クイックストリーム Quickstream |
Trumpeter |
||
Quick March |
|||
トゥワール Twirl 鹿 1894 GB |
ベンディゴー Bendigo |
Ben Battle |
|
Hasty Girl |
|||
ハバネラ Habanera |
Isonomy |
||
Polonaise |
F.No.[7-c]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正10 |
5/1 |
東京 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
13 |
1 |
1.57.11 |
123 |
友村 |
マイヅル |
【獲得賞金】
第八フラストレート (競)コイワヰ 牝 1918 栗毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 中野熊次氏所有 |
【戦績】19勝 【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
フラストレート* Frustrate 栗 1900 GB 1907年輸入 |
セイントフラスキン St.Frusquin 黒鹿 1875 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
イザベル Isabel |
Plebeian |
||
Parma |
|||
ハッティ Hattie 1893 GB |
ケンダル Kendal |
Bend Or |
|
Windermere |
|||
スカーテ Skarte |
Silverster |
||
Albatross |
F.No.[1-b]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
大正11 |
春 |
阪神 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
5 |
1 |
1.44.44 |
130 |
平山 |
- |
【獲得賞金】
《繁殖成績》
大正15年〜昭和15年供用(北海道浦河)
昭和15年転売不明
《解説》
45勝の不滅の大記録をたてたコイワヰから10年後に、再びコイワヰの名を持つ競走馬が御賞典を拝領した。初代コイワヰのライバルであったレッドサイモンの全妹にあたるコイワヰは、競走馬としては19勝もしてフラストレート*の直仔の代ではレッドサイモンに次ぐ活躍をした。
繁殖にあがった第八フラストレートは仔出しが悪く、2番仔のヤタケが中級の活躍をしたものの、唯一の牝馬第十フラストレートは浦河でアラブ馬を数頭残しただけにとどまり、この名競走牝馬の血はフラストレート*のファミリー拡大には貢献しなかった。
【第八フラストレートト ファミリー】
フラストレート* Frustrate
|第八フラストレート (競)コイワヰ 帝室御賞典
||美走(競)ビソー(ペリオン* 牡1915栗)
||ベリハナ(競)ヤタケ(ペリオン* 牡1927鹿) A帝室御賞典
||メツルドホールス(競)ノーザンキング(クラックマンナン* 牡1928黒鹿)
||イボスエ(競)グンキ(イボア* 牡1929鹿毛)
||第九フラストレート(ペリオン* 牡1934鹿)斃死
||第十フラストレート(ペリオン* 牝1936栗)
|||第十フラストレートノ一(競)モリイヅミ(ハラブ アラ 牝1941栗)
|||第十フラストレートノニ(アブラール アア 牝1942栗)
|||勝抜(アブラール アア 牝1944栗)
第五十三インタグリオー (競)シノグ 牡 1922 鹿毛 JPN 岩手県雫石 小岩井農場生産 |
【戦績】8勝 【主な勝鞍】帝室御賞典
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick 黒鹿 1890 GB |
セイントシモン St.Simon |
Galopin |
St.Angela |
|||
プレザンテリー Plaisanterie |
King Tom |
||
Adeline |
|||
カメオ Cameo 黒鹿 1891 GB |
シューリオ Thurio |
Cremorne or Tibthorpe |
|
Verona |
|||
ライトオブアザーデイズ Light of Other Days |
Balfe |
||
Meteor |
|||
第五ボニーナンシー 黒鹿 1915 GB |
ルーヂゲーア* Ruadhsgeir 黒鹿 1905 GB |
セイントシモンミミ St.Simonmimi |
St.Simon |
Mimi |
|||
オーヴァースタディ Over Study |
Beauclerc |
||
Hysterical |
|||
ボニーナンシー* Bonny Nancy 黒鹿 1903 GB |
クイーンズバースデイ Queen’s Birthday |
Hagioscope |
|
Matilda |
|||
ボニーケイト Bonny Kate |
Bread Knife |
||
Bonny Elsie |
F.No.[10-b]
《競走成績》
【主な戦績】
年 |
月日 |
開催 |
競走名 |
距離 |
頭数 |
着順 |
勝タイム (着差) |
重量 |
騎手 |
2着馬(勝馬) |
昭和2 |
春 |
福島 |
帝室御賞典 |
1 1/8M |
5 |
1 |
1.572/5 |
130 |
田中和 |
- |
【獲得賞金】
《繁殖成績》
昭和5(1930)年より供用(宮城県加美種畜場)
昭和15(1940)年廃用
《解説》
インタグリオー*直仔としては最も後の時代の活躍馬である。小岩井農場の基礎輸入牝馬との配合で生産されたインタグリオー*直仔の活躍馬はSt.Simonの近交を持たない馬が多かったが、代を経た本馬はSt.Simonのクロスを持つ。
第二若葉 牝 1925 鹿毛 JPN 千葉県印旛郡遠山村 和田孝一郎生産 |
(競)カメオ 清駒 栗 1916 JPN |
インタグリオー* Intaglio 栗 1899 GB |
チルドウィック Childwick |
St.Simon |
Plaisanterie |
|||
カメオ Cameo |
King Tom |
||
Adeline |
|||
ビューチフルドリーマー* Beautiful Dreamer 栗 1903 GB |
エンシュージアスト Enthusiast |
Sterling |
|
Cherry Duchess |
|||
レポソー Reposo |
Amphion |
||
Monotomy |
|||
若葉 鹿 1917 JPN |
ラシカッター* Rushcutter 栗 1886 GB |
パーシモン Persimmon |
St.Simon |
Perdita |
|||
カーブストーン Curbstone |
Plebeian |
||
Queen Elizabeth |
|||
第三キーンドラー 栗 1894 GB |
インタグリオー* Intaglio |
Childwick |
|
Cameo |
|||
キーンドラー* Keendragh |
Enthusiast |
||
Sunnyside |
F.No.[1-o]
《繁殖成績》
繋養先:青森県・折舘文司郎氏所有
《解説》
清駒の血を後世に伝えるほぼ唯一の牝馬である第二若葉の血統表を眺めれば、新堀牧場の牧場主であった和田孝一郎の野心的な配合を伺うことができるだろう。とはいえ第二若葉の子孫は優れた血脈を残したとはいえず、プライオリーロックチャタム(これまたEnthusiastとSt.Simonの近交馬)が伝貧で殺処分される直前に残したヒガシヤマの子孫から60年代の終わりに公営の活躍馬タケデンボーを出した程度である。
【第二若葉 ファミリー概観】
若葉
|第二若葉
||ゼウヰンナー(ウツリーブリッヂ* 牡1930鹿)
||矢風(オールグリーン* 牡1931鹿)
||若駒(シャイニングスピヤー* 牡1932鹿)
||プライオリーロックチャタム(プライオリーパーク* 牝1934栗)
|||むらさき(善祖 牝1938鹿)
|||クラックパーク(開銀 牡1941青)
|||高梅(中半 梅白 牝1946栗)
|||ヒガシヤマ(フジミヤ 牝1949黒鹿毛)
||||ヒカルジョー(オーブリオン* 牝1960鹿)
|||||タケデンボー(リンボー* 牡1965黒鹿)平和賞、ゴールドC、ダイオライト記念:種牡馬
||賢葉(賢春 牝1936鹿)
||第四若葉(ウツリーブリッヂ* 牝1938栗)
|||第五若葉(ボネイビー* 牡1943栗)
|||ミスワカバ(アア瑶風 牝1944栗)
|第三若葉 (競)ヤマカゼ(オールグリーン* 牝1930鹿)
|第四若葉 (競)ハクサン(オールグリーン* 牝1931黒鹿)
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